クロアゲハの前蛹 Part1
まずは、壁面での反射とセットにして、ハート形を作っている幼虫さんを観察してください。
この状態を「前蛹」といいます。
成熟した幼虫は、水分の多いベチョウンチをした後、かなりの距離をさ迷い歩きます。これがウォンダリング。
そのあと、糸を吐いて足場を作って腹の先端を固定し、「帯糸」という糸を自分の背中側に回して体重をかけられるようにしてから動かなくなります。
それが、写真の状態で前蛹というのです。
幼虫時代、頭をぐんと曲げていたのが伸びていますね。
足は縮めてしまっています。
この後、胸部背面が割れて、そこから幼虫時代の皮を脱ぎ棄てて蛹になります。
さて、疑問?
この状態で皮を脱ぐというのは、例えて言えば、爪先を床につけたままソックスを脱ぐ、という動作と同じじゃありませんか?
ソックスを脱ぎ棄てられますか?
ソックスを切ってしまうか、一瞬でいいから爪先を床から離してまたぎこさないと、脱ぎきれないのではないでしょうか?
さて、アゲハ類の幼虫たちはこの問題をどう解決しているのでしょう?
「蝶・サナギの謎」平賀壮太 著、トンボ出版、2007年刊
という名著があります。チョウへの愛情が満ち溢れた厳密に科学的な本です。名著としか言いようがありません。子どもたちに読ませたい本です。
さて、この本の20ページ、「サナギになる過程(蛹化)の観察」という項から部分的に引用します。
脱皮前になると皮に皺がより、胸部背面が割れてサナギの突起が現れ、幼虫の皮を脱ぎ、最後に尾端の突起を抜き出して糸山に押しつけて固定する。この脱皮の過程で帯糸は後胸節の上に移動する。体をくねらせて、脱いだ皮を落下させる。
やっぱり、またぐんですね。
私は長いことチョウの飼育をやっていますが、前蛹の脱皮を観察したことは一回しかありません。
いつ始まるかわからないものですから、なかなか出あえません。
脱皮が始まると速いですよ。あれよあれよという間に進行して、皮が下に落ちて終了。
その時の印象では、またいでいる、と思いましたが、その後決定的な観察はしていません。
平賀先生の著書でこの文章を読んで感激しました。
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