地球照
2009.6.14付 朝日歌壇より
細りつつ朔(さく)にちかづく月のかげ地球照をばまどかにいだく:(大分市)岩永知子
「地球照」を短歌で読むのは初めてです。
ちきゅう‐しょう【地球照】新月の際、地球から反射した太陽光が、月の暗黒面を薄明るく照らすもの。地球の照返し。地球回照光。地光。[広辞苑第五版]
太陽から地球へ、地球から月へ、そして月から地球へ返ってきた光なんです。
月齢27くらいから朔をはさんで3くらいまでが、見ごろでしょうか。月の明るい部分が細く、残りの部分が地球照でぼんやり光って、合わせて丸い月になります。
丸い=円い、ということで「円(まど)か」なんですね。
気づけば必ず見られます。ああ、長く旅をした光を見ている、と観察してください。
付記:皆既月食では、月は地球の陰に完全に入ってしまうのですが、でも、見えなくなってしまうわけではなく、赤銅色に見えます。
これは、地球の大気を回り込んだ光が影の中の月を照らすからです。夕焼けの延長みたいな光で照らすわけですから、赤みがかって見えるわけです。
朔前後の地球照とは、原理が違っていますので、混同しないでください。
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