妻の手
2009.6.8付 朝日歌壇より
妻の手に触れることなき四十年(しじゅうねん)癌持ちてより夜毎握りぬ:(行方市)額賀旭
高野公彦 評:ガンと闘っている人は心細い気分になりやすい。作者は、妻の手を握って眠る。その手は優しい精神安定剤。
高野氏の評は分かるんですが、「精神安定剤」という言葉が、微妙に引っかかります。
手のぬくもりは、ともすれば崩れそうになる心を支え、刺激の少ない夜に頭の中に去来する不安や恐れを手の敏感な触覚に集中させて、眠りへ導く。
共に若くはない手ですから、二人の歴史を皺に刻んだ手。感謝がこもることでしょう。
「同行二人」。夫婦ってそういうもの、なんだろうなあ。
年を重ねてきたなぁ。
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