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2009年6月 3日 (水)

2009.6.1付 朝日歌壇より
風媒の桃花はももいろの風に抱(いだ)かれふふとちさき実むすぶ:(福島市)美原凍子

結局、蜜蜂が来なかったのですね。人の手や風で受粉する羽目となってしまったようです。
美原さんの「桃」は連作になっています。ご紹介しましょう。

2009.5.18
蜜蜂のいない桃畑、人の手で受粉せらるる花のゆううつ

2009.5.4
桃の木に桃の時間が流れいて畑はいちめんももいろまんだら

2009.4.27
桃の木に桃の花咲きまろき実となりゆくまでのいちにちいちにち
 永田和宏 評:桃の花が実を結ぶまで長い柔らかい時間の表現として下句のリフレイン秀逸。

2009.4.20
桃畑の一点となりひねもすを摘蕾(てきらい)すればおろし吹き来る
 高野公彦 評:桃畑で働く作者。桃の蕾に囲まれつつ、山からの風が身に沁みる。

2009.3.2
きさらぎの光を浴びて桃の木はももでありたきいっしんとなる
 馬場あき子 評:春近い光に甦るような艶光を滲ませる桃の木が下句で独特の生き方をみせる。

かつて、夕張に暮らした美原さんですが、今は福島市で、「桃の時間」を生きておられます。
どうか、おいしい桃ができますように。(個人的には甘いだけの桃ではなく、酸味もあって濃厚な味の桃でありますように。)

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