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2009年6月24日 (水)

2009.6.22付 朝日歌壇より
牛糶(せ)りの終へたる後のしづまれる暗き牛舎に山背吹きくる:(岩手県)佐藤忠
 馬場あき子 評:飼育した牛が糶り落とされていなくなった牛舎に暗い山背の風が吹く。昔は凶作を予告するといわれた。暗澹とした気分が漂う。

◆「糶」という字を知りませんでした。「競り」しか知りませんでした。難しい字ですね。

◆長年していることではあっても、育てた牛を売ったあとの牛舎って、すかすかになってしまって、妙に広々してしまって、風がまともに吹き抜けて行くようになってしまった、と感じるのではないでしょうか。その空虚さを詠っていらっしゃる。
山背が吹いたから今年は凶作か、という暗い気持ち、というわけではないのではないでしょうか。
また、次の牛を育て始めれば、それはまたそれなりに楽しい仕事になるのでしょう。牛は生きて育ちます。その作業が楽しくないわけはない。でもまた、その先に、空虚がひかえている。
それを繰り返していく。
それが、生きるということである、と。

命を育て、命を売り、我が命を養う。それが生きるということである。

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