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2009年4月 8日 (水)

この春の

[恋する大人の短歌教室](2009/4/6)
 この春の花びら色の口紅をあなたのシャツの胸に咲かせる:茨城 沼尻つた子

 桜の季節にぴったりの、色彩感に富んだ歌ですが、相手の男性にとっては怖い歌ですね。シャツの胸にキスマークをいっぱい付けてしまうわよ、というのですから。こんな歌を贈られたら、家庭を持っていなくても、返答に窮してしまうでしょう。逆に上手に歌で返せたら、「現代の色好み」と称賛されるかもしれません。
 四季の中でこの季節に限っては、「花びら」を「春の」とことわる必要はないでしょう。「花びら」とだけ言えば桜の花弁を指す、という約束もあったんですよ。とはいえ「この春」という限定に作者のこだわりがあるようですから、「春」と「花びら」をつなぐ助詞を替え、残してみました。「胸に咲かせる」という表現も、襟程度では済まさないわよ、という熱烈さが捨てがたいのですが、「花を咲かせる」あたりで優しく納めてはいかがでしょう。「花」という文字がダブりますが、この場合は華やかになり、かえって効果的なはず。作者の決意の強さも、十分伝わると思います。(石井辰彦)

 

この春は花びら色の口紅であなたのシャツに花を咲かせる

 きつい言い方をさせていただきます。添削の結果は「散文」になりました。説明文ですこれは。
 女性の化粧品などでよく聞く言い方。「この春の新作」「この春の新色」・・・
ですから、「この春の『花びら』色の口紅」でいいのです。

 私は「桜」を思い浮かべてはいません。ピンク系かも知れませんがもっと濃い色、あるいはオレンジ系、深紅・・・そういう濃い色で、白いシャツをキャンバスにして、きれいな花を一輪、咲かせてみせます、と言っておられるような。
「いっぱい」つけちゃったら衝撃が弱まるじゃないですか。

鮮烈な花を一輪差し上げます。

でしょう。

 花という文字のダブりはやはり歌の力を弱めています。

私は原作の方が歌としては激しい衝撃力を湛えたすぐれた作品だと感じています。添削は、それを理に落ちた散文にしてしまった、と感じるものです。

私ですか?添削なんかしたくない。(私の唇からあなたの胸へという思いを込めて。)

 

この春の花びら色の口紅をあなたのシャツの胸で咲かせる

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