ステンレスの錆
道端に止めてあったオートバイのマフラーです。
携帯電話のカメラでの撮影ですので、少々画面が粗いのですが話の本筋には関わりませんのでご勘弁を。
マフラーはステンレス製です。
さて、マフラーの両端に色が付いていますが、どうしてでしょう?
別に塗料で着色したものではありません。
これ、多分ステンレス中のクロムの酸化膜による、シャボン玉と同じ原理の虹色です。
ステンレスって錆びないんじゃなかったっけ?
いえ、ステンレスはさびの膜で保護されているんです。
ステンレスは鉄に、クロムとニッケルを混ぜた合金です。クロムはさびやすい金属でして、すぐさびて、緻密なさびの膜=酸化膜をつくって、鉄そのものがさびることから保護しているんですね。ニッケルが入ると、さらに酸にも強くなる。
ステンレスは、さびでさびから守る、という合金です。
ですから、ステンレスの表面にはさびの膜ができるわけですが、オートバイのマフラーには、エンジンから熱い排気が送り込まれます。すると、温度差に応じてさびの膜の厚みに違いができるんですね。熱いところはきっといっぱいさびて、酸化膜も厚くなるのでしょう。
シャボン玉ではせっけん膜の裏と表で反射した光が干渉して色を発します。そして、せっけん膜の厚みに応じて、色が変わります。
同じように、ステンレスの表面にできたさびの膜の裏表で光が反射して、その反射光が干渉して色が出るのです。
新しい銅板をゆっくり焼くと同じような虹色が見られます。
チタンのネクタイピンで、表面の酸化膜の厚みをコントロールして発色させた商品もあります。
チタンの酸化膜で虹色に発色させた微粉末を練り込んだ、虹色化粧品もあります。
街角で見かけた、金属酸化物薄膜シャボン玉、でした。
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