ワッフル
[恋する大人の短歌教室](2009/4/13)
{応募作}ワッフルの中ですやすや眠りたい君はクリーム甘いクリーム:東京 勝田眞黄
ワッフルに挟まって恋人と眠りたいという、とろけるように甘い恋の歌です。若い世代では知らない人が多いでしょうが、二つ折にした一枚の布団にくるまって寝ることを、その形状からの連想で「柏餅」と言うんですよ。生活のにおいがする言い方です。その柏餅がワッフルに代わったとたん、何ともおしゃれな感じになるのが面白いところ。幸せいっぱいな気持ちを素直に表現した、好ましい歌ですね。
こういう作品は添削すると感動の新鮮さが薄れやすいのですが、歌のかたちを整えるのは無駄ではないでしょう。たとえば「すやすや」という擬態語は、ちょっと安易かもしれません。恋人同士が寄り添って眠ることを強調し、ついでに「リ」の音をリズミカルに繰り返してみました。そうそう、作者が甘党なら、ジャムも挟みたくなりませんか?ジャムはもちろん作者自身。大人っぽい雰囲気がほのかに漂うことになったのは、音数の関係で一人称を「わたくし」にしたためでもあります。(石井辰彦)
ワッフルに挟まりふたり眠りたい君はクリームわたくしはジャム
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この歌に何かを言う資格のない私です。なぜかと申しますと、ワッフルというものを見たことも食したこともないからです。
甘いものが苦手でしてねぇ。おいしいと思って食べても、胃が酸っぱくなってしまって、夕飯を欠食することになる。何度、失敗を繰り返したことか。洋菓子はまだしも、和菓子はまるっきりダメでした。そして今は、洋菓子もお手上げです。
ワッフルなるものをグーグルでイメージ検索して、やっと、はぁ、これか、と理解した次第です。
添削って、難しいものです。ここでも、私の感覚では応募作の方が良い作品と思います。
「すやすや」「クリーム」「クリーム」「甘い」と、あくまでも目で見ても優しい字の姿。
それに対して、添削は「り」を繰り返して、ねっとりした甘さを損なってしまいましたね。
「わたくし」では硬すぎます。大人っぽくありません。
あくまでも、やさしい人につつまれて眠りたいのであって、「挟まり」という必要はない。「中ですやすや」でいいでしょう。
「君はクリーム甘いクリーム」と重ね繰り返すことで、ねっとりした甘えが生まれています。いいんじゃないですか、それで。添削からはそういうエロスが消えてしまいましたよ。
というわけで、応募作の方がいいですっ。
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