虎清く
2009.4.20付 朝日俳壇より
虎清く歩くがごとく春来たる:(松戸市)大谷昌弘
金子兜太 評:「虎清く」が美しい。
虎は猫科ですからね。足音も立てずに来る。しかもあの迫力で確実に迫ってくる。
そういう「春」。春というものの新しい捉え方を見せていただいた気がします。
◆中島敦の「山月記」が素直に読めなくなりました。国語の問題文に使われていたのです。試験監督に行ったとき。
試験中に読んでいて、自分の変化に気づきました。
もし虎が、何かのことで、人間になってしまったら、きっと、嘆くでしょう。自分はいったい何の罰でこんな欲望のはびこる人間界に身を置くことになってしまったのか。清らかな虎の生活はよかった。人間の欲望の凄まじいこと。世界を呑み尽くしてまだ渇きが止まらないという。
何という罰を受ける羽目になってしまったんだろう。
とね。
「崩彦俳歌倉」カテゴリの記事
- 榠樝(2021.02.01)
- オオスカシバ(2020.10.06)
- 猫毛雨(2020.04.20)
- 諏訪兼位先生を悼む(2020.03.25)
- ルビーロウカイガラムシ(2020.01.17)
コメント