10000ボルト
2009.4.20付 朝日俳壇より
恋猫の一〇〇〇〇ボルトの瞳かな:(東京都)吉竹純
長谷川櫂 評:コピーライター、土屋耕一さんの追悼句。「君のひとみは10000ボルト」の美女を恋猫に換骨奪胎。
え~、君のひとみは10000ボルトの歌が流行した頃の思い出です。
物理教師でもある私としては当時こんなことを考えていました。
ものすごく大雑把な目安なんですが、乾燥した空気中で静電気の火花が飛ぶとき、1万ボルトで1cm、という感覚があるのです。ヴァン・デ・グラーフ起電機という装置で高電圧を発生させて色々な実験をやってみせました。この装置ではメガボルトクラスの電圧がでます。
数十cmの火花が飛ぶんですね。しくじって、その放電の直撃を受けたこともあります。指先に放電を受けて、肘までしびれます。きつかったぁ。
そういう経験からすると、1万ボルトでは1cm程度の火花。あんまり大したことはないなぁ、という気分なのです。素人の方からすると、1万ボルト、は高電圧でしょうが、実はさほどでもない。
やっぱり「地上におりた最後の天使」となると、威力はずいぶん落ちるのだなぁ、1cmしか火花が飛ばない美女では、しびれないなぁ、と皮肉なことを話して聞かせたりもしたものです。
でもまぁ、恋猫から1cmの火花は飛びますよ~。
冬の猫をアクリル毛糸のセーターかなんかでこすってください。バチバチ火花が飛びます。(迷惑だろうけど。)千から万の単位の電圧に帯電します。猫から放電を受けてやってください。
猫なら1万ボルトの瞳に値するのです。猫の瞳にはしびれます。
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