寒のめだか
2009.4.6付 朝日歌壇より
教材のめだかを捕ると理科教師寒のめだかの居場所を知れり:(岐阜市)後藤進
私は専門は化学ですから、いろいろな物質や反応にはそれなりに勘が働きます。
生物教師としては昆虫ならある程度の勘が働きます。
いらっしゃるんですよぉ、ベテランの先生で、この生物は、今ならここ、もう少しするとあっち、にいっぱいいるよ、という方がね。
何だろう?血液の循環でもメダカのヒレで顕微鏡観察しようというのかな?寒の頃に産卵でもなし。さぁ、そんな時に、ああ、今ならね、あそこ行ってみようか、と御託宣。恥ずかしがらずについていくのがいいんです。いろいろ教えてもらってこそ教師。教わることの楽しさを知らない人は教師にならない方がいいですよ。
生物関係の教材屋さんにもこういう方がいらっしゃいます。
公立学校の予算の使い方としては「入札」がよいのでしょうが、理科の薬品や教材、特に生き物教材などは、できれば馴染みの業者への「随意契約」のほうが授業はやりやすい。勘があるからなんですね。何時に納入すれば授業にちょうど良いか、なんてことも考えてくれます。
授業にあらわれる内容を知っているだけでは教師としては不十分なんです。その裏に、何十倍、何百倍という対象への知識や勘や愛情や、いろいろあって、「厚みのある授業」ができるようになるんです。
そういう意味で、小学校の高学年では教科担任制を取るべきだと思います。誰でも小学校を卒業したのだから、小学校の授業くらいできるだろう、ではないのです。
先生がその教科を好きだ、というのが子どもに対して一番よいことなんです。虫嫌いじゃ困るんです、数式嫌いじゃ困るんです・・・。
さて、私は、生物を教えるにあたって、子どもの頃からの虫好きで、虫への愛情は人一倍、だから、まぁ、生物を教えることに「資格」はあるのかな、と思いながら踏み出したのでした。
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