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2009年4月22日 (水)

人生の奥行き

2009.4.20付 朝日歌壇より
テレビ消しストーブを消し電灯消しひとつ残れるこの命の火:(小千谷市)渡邊三省
あさはやくあかくておもいらんどせるせおっていくよしょうがっこうへ:(匝瑳市)いしはらさわ
 佐佐木幸綱 評:作者はそれぞれ百四歳、六歳だという。その差は九十八年。命の火をしみじみとうたう百四歳と小学校入学の朝をうたう六歳。重ねて読むと人生の奥行きが味わえる。
 {二首目について}高野公彦 評:作者は「6さい」、可愛い新入生。

わたくし、60歳。二人の真ん中を過ぎたあたりですねぇ。「命の火」が揺らいできた感じの方が強い日々です。どこかに「灰の中の熾」というのもまだるあかなぁ。

ところで、子どもの詩歌については、少しだけ注意がいるような気もします。
子どもが何か言うと、その視点が新鮮で、詩として、もてはやしてしまいがちです。もちろん、大人が失ってしまったような視点から自在に世界を見るということは素晴らしいことです。
ただ、詩は、言葉によって構成されるものですから、語彙が少ないが故のユニークな表現が生まれたりもします。また、こう言ったら大人はよろこぶだろうな、という子どもなりの鋭い「読み」というものもありうるのです。
ですから、子どもの詩は大切に記録しながら、一方で、それを「磨く」ということも少しずつでいいですから練習を積んでいくべきでしょう。

子どもに手で色々なものをつくらせて(工作でも、料理でも)、稚拙でも褒めて喜ばせ、さらに作る楽しみを大きく育てていくのと同じです。
言葉で作る世界、というものを、うまく育ててあげられるといいですね。

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