踏青
2009.3.23付 朝日俳壇より
踏青の熟女結託して笑ふ:(愛知県)稲垣長
金子兜太 評:熟女・結託などと際どい語感をぶつけて、春の野に遊ぶ気分を逆撫でする。これも俳句の現代。
とう‐せい【踏青】春、青草をふんで野山を散歩すること。青きを踏む。<季語:春>[広辞苑第五版]
「踏青」という言葉に馴染みがなくて、なんだか、畑で麦踏でもしているような光景が先に浮かんでしまいました。違うよなぁ、と調べて分かりました。
ようするに、にぎやかなんですよ。
にぎやかな集団といえば、保育園児たちのお散歩、女子高生の傍若無人なおしゃべり、おばさんたちのやっぱり騒々しいおしゃべり・・・相場はこんなところでしょ。
熟女は「おばさん」だし、結託は「集団おしゃべり」で、さして「際どい語感」とは思いません。
おばさんがにぎやかに行くお散歩隊<崩彦>
女性読者の皆様、怒らないでください。
決して勝ち目のない爺さんのぼやきですから。
2009.3.23付 朝日俳壇より
百歳へ兜太とともに青き踏む:(横浜市)小林すえお
さて、作者はそれなりに年齢を重ねた方と拝察しますが、金子氏と並んで野山を散歩なさっても、やっぱり、おばさんやおばあさんたちの華やかさにはかないませんね。
女性の集団のおしゃべりが聞こえてきて、ああ、それはこうなんだけどなぁ、と教えてあげたかったり、誤解を解いてあげたかったりしても、男一人じゃ立ち向かえませんね。なんだろ、このおじさん、という眼差しが一斉に飛んできたらとても受け止められません(少なくとも私は)。
これが「結託」ということでしょう。
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