« ロゼット | トップページ | 菜の花 »

2009年3月 4日 (水)

ひび

2009.2.16付 朝日俳壇より
あたためる柩の妻の胼(ひび)の指:(岡山市)大本武千代

◆コメントも書けないし、つらくて、載せずにいたのですが、男性の投稿欄「ひといき」に下のような一文が載りました。
ただ、合わせてお読みください。

[男のひといき]勲章のあかぎれ(2009年2月21日付 朝日新聞朝刊)
 1年ほど前、夕食の片づけを終えた妻が、イスに座って新聞を読んでいた私に「ねえ、ちょっと見て」と自分の手を見せた。驚いた。親指がナイフで切ったように深く横一直線に切れ、赤い肉が露出しているではないか。あかぎれだ。
 妻はよく、風呂上がりにクリームを手に塗り込んでいた。手が荒れているのだろうとは思っていたが、これほどひどいあかぎれとは不覚にも知らなかった。
 私は即座に「うわー、ひどい。しみるだろう。当分の間、私が食器洗いをしよう」と申し入れた。ところが妻は「いいですよ。食器洗いは主婦の役割だから私がします。あかぎれは主婦の勲章みたいなものよ」と取り合わなかった。結局、妻はあかぎれのまま、冬を乗り切った。
 その妻もがんとの闘いには勝てず、8月に他界した。それから、私の一人暮らしが始まった。夫としての仕事に家事全般が加わり、この1月くらいから手が荒れ出した。親指にあかぎれができた。今はざっくり赤い切れ目ができて、みかんの皮をむくのにも難儀している。
 毎晩、食器洗いが済むと、イスにかけながら傷口の手当てをしている。そうだ、私はもう主夫なんだ。これから、このありがたくない勲章を何回受けることになるのだろう。亡き妻の言葉を思い出しているこのごろである。
 (神奈川県鎌倉市 島田巌<いわお> コンサルタント 73歳)

« ロゼット | トップページ | 菜の花 »

崩彦俳歌倉」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« ロゼット | トップページ | 菜の花 »

2023年1月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想
無料ブログはココログ