待っててくれる人
2009.3.16付 朝日歌壇より
そうかもう君はいないんだと云う台詞どっちが云うかあなたとわたし:(三島市)渕野里子
まだ私を待っててくれる人がいる遠石一丁目バス停降りる:(防府市)波多野桂子
この2首は永田和宏氏の選なのですが、評の終わりに、「二首ずつをセットで味わって欲しい
。」とあるのですね。
2番目の歌は、明らかに家で待つ人がいる、それはどう考えても配偶者ですよね。(親子関係もないわけじゃないでしょうが、ここはストレートに配偶者としておきます。)
そうすると、1番目の歌について、永田氏は、「あなたとわたし、どちらが先に逝くことになるのかしらね」という配偶者間の会話ととらえていると思うんです。
セットで味わえとおっしゃっていますから。
で、さきほど私は、ひょっとして、この1番目の歌は配偶者間の会話ではなく、職場の同僚同士の会話である可能性はないか、と深読みしてみました。
ロッカーの荷物はほんの一かかえつぎつぎ去りゆく職場の仲間:(三島市)渕野里子
この歌と同じ作者の歌ですから、同じ状況を詠んだのだとすれば、いつ、どっちが解雇されてもおかしくない、という状況を詠んでいるのではないか、と。
いかがでしょう?みなさんの感じ方は?
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