初蝶
2009.3.9付 朝日俳壇より
初蝶の二つになって戻り来し:(松山市)吉武宗史
長谷川櫂 評:今、見かけた初蝶が二羽になって舞い戻ってきた。きっと恋の相手だろう。初蝶の初恋。
動物の配偶行動に、擬人的な言葉はあまり使わない方がいいと思います。パンダの「結婚」とか。蝶の「恋」。
成虫で越冬したか、蛹で越冬して羽化したてか、その去年の命をつないできた蝶たちが、交尾相手を求めている。(オスがメスを探すんですけどね。)
そうして、今年の命を始めようとしている。まさに、これが春です。初蝶とは、今年の命を生む者たちです。
初蝶の根雪の上を動かざる:(習志野市)早川高士
白い雪の上にあって、翅を開いて太陽光を受けているのでしょう。命をあたためているところです。代謝活動が高まっていく感覚って、私たちのような恒温動物にはわからないものですが、きっと、みなぎり、みちてくる、そういうものなのだろうと想像します。
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