桃の木
2009.3.2付 朝日歌壇より
きさらぎの光を浴びて桃の木はももでありたきいっしんとなる:(福島市)美原凍子
馬場あき子 評:春近い光に甦るような艶光を滲ませる桃の木が下句で独特の生き方をみせる。
かかし 評:桃の木の花芽が膨らみ、命が漲ってくるさまを、「ももでありたきいっしん」という見事な言葉で切り取って見せた美しい歌。
いや、すべて、植物も動物もみな、この時期、われはわれでありたし、と強い無言の叫びをあげていますよ。
耳を澄まし、鼻をくすぐる風を聞き、肌にさす日差しの温もりを感じ、心を注ぎ、全身を開いてください。きっと、ものみなすべての声が聞こえてきます。
ひとだって、ひとでありたい。そうでなければ、ひとでなし、になっちゃいますもの。
「崩彦俳歌倉」カテゴリの記事
- 榠樝(2021.02.01)
- オオスカシバ(2020.10.06)
- 猫毛雨(2020.04.20)
- 諏訪兼位先生を悼む(2020.03.25)
- ルビーロウカイガラムシ(2020.01.17)
コメント