コアラ
2009.3.9付 朝日歌壇より
人の手に手を添えたまま水を飲む猛火を必死に耐えたコアラは:(城陽市)山仲勉
高野公彦 評:先日オーストラリア南部で山火事があった。この歌はそのとき消防隊に救出されたコアラの可憐な仕ぐさ。
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救出コアラの「サム」、希望の象徴 豪の山火事:2009年2月13日3時4分朝日新聞
【メルボルン(オーストラリア南東部)】史上最悪の山火事に見舞われたオーストラリアで、消火活動中に救出された野生のコアラが「希望の象徴」として被災者らを元気づけている。
消防団員のデビッド・ツリーさんが8日、メルボルンの南東約120キロの山林で脚をけがして動けなくなったコアラを発見。ペットボトルの水を差し出すと、続けざまに3本を飲み干した。ツリーさんは「差し出した私の手を握った瞬間を忘れない」と地元紙に語った。
コアラは「サム」と名付けられ、写真を掲載した地元紙には「分けてほしい」との問い合わせが相次いでいる。
野生動物なのに、こういうことってあるんですね。必死だったんですね。きっと、ほっとしたんですね。うれしかったんですね。
本当に心をうたれました。
◆こんな投稿もあったんですよ。
[ひととき] 命、一つひとつ
13日付朝刊の1面に掲載されていた、オーストラリアの山火事で救出されたコアラと消防団員の写真にくぎ付けになった。
あのかわいらしい手を人間に預け、無心に水を飲む姿に、精いっぱいの感謝の気持ちが込められているのが、私には痛いほど伝わってきた。
胸が熱くなり、何かフツフツとこみ上げてくるものがあった。
我が家は動物好きの一家だった。一番多いときで、ネコ7匹がいた。もちろん、全部捨て猫だ。
薄汚れたり、傷ついたりした捨て猫を見ると、子どもたちは抱きかかえては学校から帰ってきた。それを何も言わずに私は受け入れた。
いつかは、近所の子どもたち3、4人が「オバチャン、これ飼って。うちのお母さんが捨ててこいと言うので」と言って子猫を抱いてきたこともあった。
7匹全部に子どもたちが名前をつけた。よく見ると、顔は全部違っており、おもしろいことに性格もみんな違っていた。
オーストラリアのコアラは「サム」と名前が付いたそうだ。
あまりのかわいさと感動で、私は新聞の写真を切り取り、身近に置いて、眺めている。
それにしても、一日も早く被災地に平和が来ることを心の底から祈らずにはいられない。
(兵庫県西宮市 ○○○○ 主婦・73歳)
(2009年2月23日付朝日新聞大阪本社朝刊から)
◆こんな話もありました。「ニュースがわからん」から引用
・・・
コブク郎:消火は順調だったの?
A:炎の高さが一般的な山火事の数倍にあたる50メートルほどにもなり、消防士がなかなか近づけなかった。地域で動員できる人数が初期段階では限られていたことも、火を止められなかった一因のようだ。
・・・
昔、同僚が30歳になった時、準備室で誕生日祝いをして、年とったなぁ、とからかったりしました。その時に、小さなケーキを買ってきて、30本のろうそくを立てて、火を着けたんですね。
ろうそくの炎って感覚としてつかめますよね。2cm程度の炎がまっすぐ立ちあがります。
実は、ろうそくの炎の形というのは、上昇気流によってつくられて、あの「炎形」になるのです。芯での燃焼熱で上昇気流がうまれ、周りから空気を吸い込んで流れていくのですね。
ところがです、小さなケーキに30本ものろうそくを立てると、全部のろうそくの上昇気流が合わさって、ケーキ全体を包む上昇気流が発生するのです。そのため、個々のろうそくの炎はケーキの内側へ傾き、強い上昇気流に炎が引きずられ引き伸ばされ、炎の長さだけで6~7cmかなぁ、もっとかなぁ(気分的には10cmもあったような気がするけれど、定かではありません)、すごく長くなるのです。
とても、吹き消すことのできるような炎ではなくなります。「火勢が強い」といっていいような炎の集団になります。真上に火災報知機でもあったら検知されてしまうでしょう。(天井の低い家庭ではやらない方がいいです。やるんだったら、水を用意して、すぐ消せる準備をしてからやってください。冗談じゃなく、危険な実験になります。)
ちょっと緊張しましたね。集まっているのは理科教員の仲間だけですから、みんなで観察して、すっげぇなぁ、などと騒いだだけですが、あれはすごかった。
これと多分同様の現象が、今回の山火事で生じたのだろうと想像します。
多数の木が並んで燃えると、1本の場合の炎とは違って、激しい上昇気流を生じて炎が引き伸ばされて、ものすごく長くなってしまうのでしょう。50mの炎といったら想像を絶しますね。多分私の推測するメカニズムで間違っていないと思います。
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