石蓴
2009.3.19付 朝日歌壇より
岩壁の石蓴ひたして潮上がる遠き樋門へ波立ちながら:(西条市)亀井克礼
語彙の少なさが露呈しました。
◆読めませんでした「石蓴」。
私が使っているMS-IMEの手書きパッドで「蓴」を書いてみたら、「じゅん、ぬなわ」という読みが出てきました。
広辞苑で「ぬなわ」を引いてみたら
ぬ‐なわ【沼縄・蓴】ジュンサイの別名。<季語:夏> 。万葉集七「わが心ゆたにたゆたにうき―」[広辞苑第五版]
ジュンサイなら知っています。酢味噌で食べるとおいしい。でもあれは淡水産です。海に産するとは思えません。
じゅん‐さい【蓴菜】スイレン科の多年生水草。日本各地の池沼に自生し、中部以北に多い。地下茎は泥中を伸び、節ごとに根を下ろす。葉は楕円状楯形、長い葉柄で水面に浮ぶ。茎と葉の背面には寒天様の粘液を分泌し、新葉には殊に多い。夏、水面に紫紅色の花を開き、のち卵形の果実を結ぶ。若芽・若葉は食用として珍重。古名、ぬなわ(蓴)。<季語:夏> 。〈字類抄〉[広辞苑第五版]
「石蓴」のままで、グーグルの検索窓に貼り付けて、検索してみました。
あお‐さ〔あを‐〕【石蓴】アオサ科の緑藻。海岸の岩石に着生し、濃緑色で平たく、ところどころに穴がある。あなあおさ。《季 春》「―つく石にかなしや海苔(のり)つかず/虚子」[大辞泉]
あおさ[あをさ]【石蓴】緑藻類アオサ目アオサ属の海藻の総称。干潮線付近の岩礁や他の海藻上に着生する。藻体は二層の細胞層よりなる膜状体で鮮緑色。寒のころ、とりわけ色が美しい。食用。飼料ともなる。アナアオサ・ボタンアオサ・オオアオサなど。[季]冬。[大辞林]
アオサなんですねぇ。やっと納得しました。なら、広辞苑でも出てくるだろうと引いてみたら
あおさ【石蓴】緑藻類の海藻。日本各地の干潮線の岩石に着生。葉状体は鮮緑色、透明で扁平。2層の細胞から成る。青海苔の代用とする。アナアオサ。<季語:春> [広辞苑第五版]
◆ところで「樋門」ってなんだったっけ?なんとなくわかるような気もするけれど、説明しろと言われると困るなぁ。また、広辞苑を引きました。
ひ‐もん【樋門】用水の取入れや悪水の排除のため堤防を横断して作られた暗渠およびゲートの総称。[広辞苑第五版]
堤防の内外をつなぐ「ゲート」なんですね。
やっとこさで、歌の情景が見えてきました。
これじゃぁ、歌の鑑賞もままならない。永田さん、今度はぜひ高野さんのまねをして、評の中で難読文字を解説してくださいな。
トホホでした。
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