山の湯
2009.3.9付 朝日歌壇より
山の湯に猿も浸かりて空を見る人にあらざる深き目の色:(徳島市)上田由美子
馬場あき子 評:近年映像などでよく紹介されて親しみを覚えるが「人にあらざる深き目の色」に邪念のない恍惚感がある。
冬場のトピックスなどテレビで見ていると、最近はあちこちで猿が温泉につかったりするようですね。出た後寒くないのかねぇ、と心配してしまいますが。
猿を見ていると、まるで鏡をつきつけられたようで、笑ったり、めげたり、情けなくなったり・・・。
結局、ヒトはサルなんだなぁ、と。つくづく。
◆今朝、3月11日の朝刊にまた、面白い話が載っていました。
2009年03月11日(水)付 朝日新聞
カニクイザルの母親が、人の髪の毛を使って歯を掃除し、大げさなしぐさで子ザルに教えているようだ――。こんなサルの行動の撮影に、京都大霊長類研究所の正高信男教授らが成功した。親が子に道具の使い方を教えているとすれば、動物では初めての確認になるという。10日付米科学誌プロスワンに発表した。(長崎緑子)
正高さんらは08年、タイの寺院にすむ野生カニクイザルの群れを調べた。
この群れのサルは、女性の長い髪の毛を拾うと、両端をもって口に入れては引き抜く動作を繰り返す。「デンタルフロス」のように使い、歯の間にはさまった食物を除き、掃除をしているとみられる。約10年前に見つかったこの群れ独特の行動だ。
1歳程度の子をもつ母ザル7匹に髪を与えて観察すると、子ザルの前では、大げさな動作で歯を掃除することがわかった。
子ザルがいる時といない時に各50回、ビデオ撮影をすると、子ザルが前にいると目を合わせながら、毛をカチカチと平均6回かみ、掃除1回あたり3秒かけた。
一方、子ザルがいないと、3回しかかまず、1秒で終えた。
チンパンジーなど道具を使う動物はいるが、子供は、見よう見まねで自発的に学習すると考えられ、親が教える行動は観察されないという。
毎日新聞では
親ザルは、女性観光客らの肩に飛び乗って引き抜いた髪の両端を持ち、口に入れて歯をかみ合わせて、歯の間の食べかすを取る。
となっていて、単に拾った髪の毛ではないといっています。
読売新聞では
野生動物が子どもへの教育行動を行う例は、チンパンジーが石で木の実を割ってみせるケースが知られているが、ほかにはほとんど例がなく、正高教授は「子ザルが早期に歯磨きできるようになるかも調べたい」としている。
元京大霊長類研究所長の杉山幸丸・ギニア高等教育科学研究省招聘(しょうへい)教授(霊長類生態学)の話「母ザルは何度もしぐさを見せており、子どもに教育効果があるのは間違いないだろう」
というコメントも付いていました。
写真がまた面白いんですよ~。
ところで、カニクイザルが生殖年齢に達するのは何歳くらいなんでしょうね?
10年くらい前から歯を掃除する行動が確認されていたとあります。
この行動を獲得した時期と、この行動を教えるようになった時期の関係が知りたいですね。
今、子ザルに教えている母ザルは、「教える行動」の初代なのか、もう、何代も続いているのか。どうなのかなぁ。知りたい。
しっかしまぁ、自分たちが子どもに歯磨きを教えた頃を思い出して、笑ってしまいましたね。
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