イリジウム
米ロの衛星同士が衝突 初の「宇宙交通事故」か:2009年2月12日11時3分
【ワシントン】米主要メディアは11日、米国の衛星携帯電話システム「イリジウム」の衛星と、機能停止したロシアの通信衛星が衝突し、宇宙ごみ(デブリ)がまき散らされたと一斉に報じた。微小なデブリと衛星の衝突は過去にあるが、衛星同士がぶつかる宇宙の「交通事故」は初めてとみられる。
CBSテレビ(電子版)によると、衝突は米東部時間10日正午(日本時間11日午前2時)ごろ、北シベリア上空約790キロで起きた。両衛星とも破壊され、約600のデブリとなって漂っているという。ロシアの衛星は93年に打ち上げられた「コスモス2251号」で、10年ほど前から機能停止していたらしい。
AP通信によると、イリジウム衛星は約560キロ、コスモス2251号は約1トン。
報道によると、米軍は衛星のほか10センチを超えるデブリの軌道を監視しており、国際宇宙ステーション(ISS)など有人の宇宙船に接近していないかどうか調べている。
ISSの高度は約400キロと低いため、今回の衝突の直接の影響は考えにくい。デブリの高度が下がってくると、影響を受ける可能性もあるが、ISSや米スペースシャトルのような有人宇宙船は軌道を変える装置を備えているため、監視網でとらえたデブリなら回避できる。
イリジウムは衛星を利用して世界中どこでも携帯電話が使えるサービスで、予備を含め約80個の衛星が高度約800キロの軌道を回っている。米イリジウム社は、今回の衝突で「携帯電話通信への影響はほぼない」としている。
デブリ問題は近年深刻化しており、一昨年、中国が衛星破壊実験をしたときは「デブリが多数発生する」と国際的に非難された。米航空宇宙局(NASA)によると、10センチを超えるデブリは現在約1万2千個が確認されている。
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◆こんな記事が報道されました。
私の記憶では「イリジウム」社は、初め77個の衛星を打ち上げて、通信網を構築しようとしたのだったと思います。その後、経営がどうのこうので、今のイリジウム社は最初のイリジウム社そのものではなかったと思いますが・・・。
ところで、イリジウム(Ir)という元素の原子番号は77なんですね。そこで、77個の衛星で通信網を、ということで、「イリジウム」と命名したのです。化学屋としては、そういうことか、とニヤッとした思い出があるのです。
◆人工衛星が地球を回るには、秒速8km必要です。とんでもない高速だ、こんな高速で衝突したらものすごい衝突になる、という感覚を持たれるかもしれません。でも、もし、全部が秒速8kmで同じ向きに飛んでいたら、相対的には速度ゼロになります。
軌道の要素はいろいろあるので、たまたま軌道が交差して、今回のような衝突が起こり得るわけですが、その衝突が秒速8kmだったとは限らないことには注意してください。
◆ところで、ヒトという動物の浅知恵!
やるのはいいけれど、いっつも後始末を考えずにやるから、大騒ぎになる。
・人工衛星も始末方法はまだない。
・フロンがそうですね。化学的に安定でいいガスでしたが、廃棄されてオゾンホールをつくった。
・PCBもそうでした。絶縁性の良い油で、電気製品に大量に使われて、でもダイオキシン問題で使えなくなって、今だに未処理のPCBが入ったドラム缶が転がっている。
・原子力の活用も、核廃棄物の処理方法が確立していないのに見切り発車して、いまだに安定的な廃棄法がない。トイレなきマンション、というやつです。
・二酸化炭素もそう。
・メタンハイドレートにいま目をつけてますが、うっかり採掘しそこなって空気中に漏れ始めたら、温暖化を加速しますが、大丈夫かどうか、私はすごく不安です。
・プラスチックもそう。
・・・
◆自分の尻は自分で拭きなさい!
と地球に言われますよ、そのうち、必ず。
というわけで、どういうことになるのかというと、ヒトという生物種の絶滅が危惧されるわけです。
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