顔
電柱に貼り付けてあるプレートなんですが、妙に「顔」っぽく見えませんか?
キティちゃん風に見えないこともない。
どうも、鋭敏な嗅覚を失った、社会性の強いヒトという動物の特性なのかなぁ、私たち視覚に頼りますよね。
「顔」というパターンの基本は「目と口」でしょうか。ですから、3つの点があれば顔に見立てることができるんですね、我々のパターン認識は。
これなんかいかがですか?
イヌホウズキの実に黒い斑点ができただけなんですが、顔に見えるでしょ。
この場合は、目と鼻ですかね、パターンとしては。
ずいぶん前に撮った、「顔パターン」の写真を引っ張り出してきましたので、ご覧ください。
これは、布地の模様です。別に顔を描いた模様ではないのですが、にこにこ顔ですね。
ビックリ顔に見えませんか?同じようなパターンの繰り返しの中から切り出したものです。
これは、ちょっと尾籠かな。かつて勤務していた学校の男子トイレにいた「パンダ」。
どうみてもパンダでしょ。
もうひとつ。
天井の蛍光灯がちょうど「口」の位置になるように撮ってみました。
目と口、私達の認識パターンの面白さであると同時に、写真に「霊」が写ったなどと騒ぐ原因でもあります。
ランダムな模様をただランダムに受け止めることができなくて、なにかのパターンにあてはめ、見立てて、安心なり、物語なりを得ようとする傾向が私たちの中にある、ということを認識しておくことは悪くないでしょう。
◆昨日の朝日新聞にこんなコラムがありました。
月並みに(2/8)
夜の飛行機雲
凍て付くというほどではないが、冷たく冴え渡った先日の夜半のことだった。たばこを吸おうと、マンションの庭に出た。正面の空に輝くオリオン座の横に、中天から白く細い帯のようなものが長く垂れ下がっている。
最初は何だか、まったく分からなかった。美しくはあるが少々不気味な気配もある。と、幅が広くなり、色も薄くなり始めた。ふと、思い至る。飛行機雲?でも、青空には似合うが、夜に?
気象庁の専門家に尋ねてみる。夜でも気象条件さえ整えば、飛行機雲は生まれ、月が明るければ見えるという。何となく、また出会いたくて、その後も、冬の星座を見上げることが重なるにつれ、こんな文章を思い出した。
フロイトと共に、20世紀を代表する心理学者、ユングのキーワードの一つとして「コンステレーション」(星座)というものがあるという。古代の人は、無数の無秩序な星の中からいくつかの星をつないで星座をつくっていった。それと同じように、人びとが生きている意味を得心するには、自分で自分の人生と家族の生き方について、偶然にみえる様々な出来事や人との出会いをつないで「星座」(物語)をつくる必要がある、ということだった。
亡くなった臨床心理学者の河合隼雄さんと、ノンフィクション作家の柳田邦夫さんの対談を収めた『心の深みへ「うつ社会」脱出のために』(講談社)の中に出てくる。
思えば、この世は、人とはもちろんだが、自然とであれ、人がつくった芸術や物とであれ、偶然の出会いに満ちている。お互い、そういう関係に支えられ、心揺さぶられ、勇気づけられながら、人は生きていかざるを得ない。その関係性に、気づき、物語を編んでいく。そいう考えれば、この世に必要のない人間や物事などない。すべてを、個人の能力や努力に帰す自己責任論の何と息苦しいことか。
そんなことを、考えさせて消えた夜の飛行機雲との数分の出会いも、思えば不思議なんです。素晴らしくね。(編集委員・四ノ原恒憲)
突然、自己責任論に飛ぶところは論理の飛躍ですが、私たちが物語を欲している、ということは確かなようです。それをまたマスメディアなどは利用して物語作りに大忙し。乗せられないようにしませんか。スポーツをスポーツとして楽しまないで「成功物語」に仕立てるのは不快です。社会的に危険です。「いい気持ち」にさせる物語を聞かされたら、疑いましょう。
ファシズムや戦争は「怖い顔」してやってくるわけではありません。快く、気持よくやってくるものです。
無秩序、偶然、ランダム、を物語(星座)に頼らず、そのままに背負って耐えるタフネスを養いませんか。簡単に物語に帰結させずに、背負っていきましょうよ。
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