無援
2009.2.2付 朝日歌壇より
一日を歩きて暮らすわが身には雨はしたたか無援にも降る:(ホームレス)公田耕一
「無援」という言葉に長らくお目にかかりませんでした。私達の世代にとっては高橋和巳の「孤立無援の思想」という本は忘れられない本です。
これも拒絶し、あれも拒絶し、そのあげくのはてに徒手空拳、孤立無援の
自己自身が残るだけにせよ、私はその孤立無援の立場を固執する。
結局のところ、人は孤立無援のままに死ぬのです。決して連れ立ってゆくなどということはありません。城山三郎さんの「どうせ、あちらへは手ぶらで行く」という言葉もありますが、加えて「ひとりぼっちで行く」のです。
無援かぁ。虚飾を全部はぎ取ってしまえば、人はみな無援というべきでしょう。
昔、「連帯を求めて孤立を恐れず」という言葉がはやりました。でも、あんまり好きじゃないな、それって。「孤立を求めて連帯を恐れず」のほうが好きだな。いやもっと突き進んで「孤立を求めて連帯を嫌う」という生き方をしてしまったものな。
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