梅
未来を包みこむ蕾よし、咲きかけの恥じらいよし、満開に誇るもよし、散る姿もよし、実の熟すもよし、(虫好きとしては)ウメエダシャクの歩くもよし。
それぞれに、よし、と味わいたいなぁ。と、こういうことをほざくと、時を知らぬやつ、本物の味わいを知らぬやつ、と言われちゃうんですがね。
大田区の白山神社の白梅が花の終わりの時期を迎えました。
白い花弁は落ちて、赤い萼が残っています。
花を愛でる人には、このような姿は「無残」と映るかもしれません。
でも、これって、次の成熟への道筋です。
花を咲かせ、授粉し、次は種の成熟です。この萼の中の子房に、命の始まりがあります。
無残でもなんでもありません。若いお母さんの姿にたとえるべきものです。命を育む姿です。
高校で生物を習った方は思い出してください。減数分裂。生殖細胞を作る仕組みです。わずかの違いはありますが、植物も動物もほとんど同じシステムを使って、生殖細胞を作ります。
何億年の昔かは分かりませんが、植物と動物が進化上分岐する前に、この減数分裂システムを作ったのですよ。分岐してからも、同じシステムを使って、子孫を増やし、種を多様にしてきた。
植物と動物って、同じなんですね、生き方の基本は。
そんな眼で、花を見、花の終わるを見てください。
◆さらに
植物細胞にも動物細胞にも、ミトコンドリアという器官があります。酸素を使ってエネルギーを作る、エネルギー工場のような器官です。
ということは、植物も動物も「酸素依存型」のミトコンドリア仲間なんですね。
植物と動物が分岐する前に、ミトコンドリアを獲得していたのですね。
そんなことも考えてみてください。
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コメント
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そうなんです。
私がミトコンドリアが好きなワケ。
植物にも、動物にもあるから。
おととい、子供が「私、光合成したーい。給食の時間、みんなグランドに出て、ひなたぼっこするの。で、光合成してそれが給食になるのっていいよね~。」と言いました。
あぁ、おかーさんもそうしたいわぁ、と答えました。
投稿: みみこ | 2009年2月27日 (金) 02時25分
新井素子 著「グリーン・レクイエム/緑幻想」
創元SF文庫、SFあ11(728 01)
これは、光合成をする緑色の髪の少女、の話です。1980年、1990年の作品が2007年11月30日付でまとめて発行されました。
評価はもちろん読む人によって異なりますが、一読に値するとは思っています。
「今の状態を素直に見れば、人類こそ、人類のやっていることの被害者だ。人類は、環境を破壊する。どんどん破壊する。確かに、そのせいで、絶滅においやられた種もあるだろうし、とんでもない憂き目にあっている種もある。が――が、最終的に、最も酷い被害を受けるのは、人類、それ自体だ」
同書より。
投稿: かかし | 2009年2月27日 (金) 10時15分