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2009年2月25日 (水)

別離

2009.2.23付 朝日歌壇より
別離とはあっけないもの音たてて扉が閉まり互いに追わず:(熱海市)三澤房枝
 永田和宏 評:死者との別れと取っておく。あっけないまでに事務的な別れはいっそうの悲しみを呼ぶ。

これは、永田さんに不同意です。死者との別れで「扉が閉まる」というのはどういう光景か、つかめません。

大寒の朝に逝きたる人ありて霊安室をあたためて待つ:(八戸市)山村陽一
山村さんは職業として葬祭をなさる方です。遺族の方は動転していますから、こんなことにはおそらく気づかれないでしょうが、深い心づかいがあるのですね。

と、「扉が閉まる」とは霊安室だろうか?
違うと思う。
抽象的に、生者と死者を仕切る「扉」が音を立てて閉まったのだろうか?
「互いに追わず」というのは、死者と生者の間ではちょっと分からないのです。

私は単純に、人と人の別れ、でいいのではないかと思うのです。おそらくは男女。
扉が閉まり、向こうにいる人の気配、存在感を感じながら、もう互いに相手を追うことはない、という切なさにも似た感情の噴出、だったのではないでしょうか。

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