針山
2009.2.23付 朝日歌壇より
針山のなかに入れたる長き毛はわがアラフォーの黒髪なりし:(いわき市)清矢暁子
そうだったのか、とびっくり。
子どものころ、母が裁縫をする傍らで、時々、針山の中に潜りこんでしまった針を指先で探って取り出す作業をやらされました。
柔らかく持って、しなわせるように曲げて、中に針があるかどうか、どこにあるか、探って、取りだすわけです。うっかりやれば当然針が刺さります。そういう作業を子にやらせて、慎重さを養ったのでしょう。(おっちょこちょいの子でしたから、わたし。)
髪の毛には油分があって、針がさびにくくなり、滑りもよくなる、と聞かされていました。
あの針山の中に入っていた髪の毛は、母の髪の毛だったのかぁ、と今更ながらに思いだしました。和裁洋裁ちゃんとやった大正生まれの人でした。子の服もずいぶん手縫いで作ってくれたものです。ということは、ちゃんと自分の毛で自分の針山をつくったのでしょうね。
この年になって気づくとは、情けない息子でありますことよ。もう、聞いてみることもできませんが。
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