水晶
2009.2.16付 朝日俳壇より
胎内に水晶育て山眠る:(栃木県)榎本全利
かかしさんは、理科おじさんでもあるもので、水晶のでき方などに少しだけ知識があります。
水晶は、100度を超える熱水に溶け込んだ石英が、徐々に結晶として成長したものです。
眠る山の胎内で、水晶が育まれている、という想像は、静けさの中に脈動する「熱」を感じさせて、心地よい響きです。
ただ、冬の季語を使っているわけですが、山のいとなみ、水晶の成長、というようなことは、季節の移り変わりというようなスケールの時間での出来事ではないので、そこが少々、私には不満です。(山笑う季節になっても、水晶がおぎゃあというわけではないし。)
季語を使わず、悠久の時の流れの中ではぐくまれる「山の命」というような表現は不可能でしょうか。
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