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2009年2月10日 (火)

スタティック・ミキサー

手元に、朝日新聞2月5日付紙面の、新聞広告があります。「ノリタケ」の広告です。私は別にノリタケの広告をしたいわけではないのですが、その広告文を引用します。

回転しないミキサー
現代アートのように美しい、この螺旋状のメタル。実はこれ、回転しないミキサーなのです。飲料や乳製品などを製造するパイプの中に固定され、原料をなめらかに混ぜ合わせる役割をします。閉じたパイプの中でかき混ぜるから、安全で衛生的。たとえばビールをつくる工程で、炭酸ガスを混ぜ合わせ、クリーミィな泡とおいしいのどごしを生み出す、
これも、ノリタケの技術のひとつです。

Staticmixer この図は、ノリタケのホームページからの引用です。

こういう形をしたステンレス製のものの写真が広告には掲載されています。

多分、この広告写真と広告文を読んで、何を言っているのかが分かる人はほとんどいないでしょう、工学系の人なら別として。私は理学系ですが、この装置の原理はおそらく40年近く昔に耳にして感動し、自分の化学教師としてのキャリアの中でも、手動でこの原理を使いました。

どういう話なのか、簡単に御紹介します。

長方形の板を180度ひねったものが基本です。右にひねるか左にひねるかの違いはあります。これを、上の図の直線部分が直交するように管の中に配置するのです。そうして、管の中に液体を流すと、流れがひねられること、次のエレメントに入る時に半分に分割されること、これが液体を撹拌することになるのです。

撹拌するというと、ビーカーの中をガラス棒でかき回すようなイメージが強いと思いますが、液体が全体として一緒に回ってしまうと、意外と混じらないものなのです。特に粘っこいものは混じりにくいですね。あるいは、異なる種類の粉末を均一に混ぜようとしても、なかなか混じりません。

このスタティック・ミキサーの一番基本的な働きは、ひねって、半分にする、というところにあります。

パイ生地をこねるときに、二つに折って伸ばし、また二つに折って伸ばし、ということを繰り返しますね。10回やれば、1024枚になります。この操作で、パイの重なり合った薄い皮ができるわけです。

パン生地をこねる、ピザパイの生地をこねる、みんな、二つに折っては押し伸ばし、という基本動作で均一にこねていきます。

スタティック・ミキサーも、混じりにくい液体を二つに割って、二つに割って・・・と繰り返して細分し、均一に混ぜるのです。

この他に、ひねりが入るので、液体内部の混合も起こります。

というわけで、管の中にこのスタティック・ミキサーを設置して、混合したい液体を流すだけで混ざり合うというわけでした。

http://www.noritake.co.jp/eeg/kakouki/about_staticmixer/index.html

↑このページに解説があり、混ざっていく様子の動画も見られます。(インターネット・エクスプローラー用になっていて、ファイア・フォックスでは見られませんでした。念のため。)

面白いもの好きの方にはお勧めです。ど~ぞ。

◆化学実験で、粉末を均一に混ぜたいことがあります。板の上に置いて匙でかき回してもなかなかうまく混じりません。

そういうときは、ひと山にまとめ、4つに切ります。右上の部分を左下へ、左上の部分を右下へ、ざっとでいいですから、移動させて、またひと山にまとめます。

そうしたら、また4つに切って、混ぜます。・・・。これを繰り返すと、結構すんなりと混じるのですね。

硫黄粉末と亜鉛粉末、硫黄粉末と銅粉末、酸化鉄粉末とアルミニウム粉末など、いろいろ混ぜたいことがありました。密度が異なると、なかなかうまく混じりません。こういうときは上に書いたような、分けては混ぜ、分けては混ぜ、という方法が有効です。おためしあれ。

 

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