余裕だね
2009.1.19付 朝日歌壇より
余裕だねおすわりをして手も振れる一年前はむにゅむにゅしてた:(東大阪市)曽根千恵子
永田和宏 評:「むにゅむにゅしてた」がまことに巧い。
私の場合、この歌で笑ってしまったのは「余裕だね」というところでした。座ること一つ。おすわりというべきか、えんちゃんというべきか、真剣だったんですよね。首が座っても、背を立てて自分の力で座れるわけじゃないから、何かに「よりかけて」写真なんか撮ったりしてね。写真撮っているうちに、だんだん傾いてきて、あ~っ、と言っている間に、コロンと倒れちゃったりね。
今は「余裕」なんです。その上、手間で振れるようになっちゃった。もう若い夫婦のご主人さまですよね。やあやあ、と手を振ってくれる。すごい。
◆赤ちゃんの生命力というものは、実際に光を発するんですよ。
病院の面会スペースで、親族の長い手術が済むのを一日中待っていた時。
いいかげん生命力レベルの低下した人たちが行き交う中で、若いお母さんが赤ちゃんのおむつを替えていました。赤ちゃんが力一杯泣きました。その瞬間、面会部屋の中がパ~ッと明るくなって、命の力があふれたんですね。どきどきしました。あんなに赤ちゃんの声がすごいパワーを持っているなんて知りませんでした。部屋にいた人たちの顔がみんな一瞬で明るくなりましたっけ。
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