鳥総松
白梅の写真を撮っていましたら、歩行補助用の車を石段の上まで引き上げてこられた私より少々年長の女性が、話しかけてこられました。
風流を解するやつ、とでも思っていただいたのでしょうか、ありがたいことです。(オナガウジの写真を撮ったりウメの写真を撮ったりしていたのですが。オナガウジの方は内緒。)
↑足元に、こんな松がありまして、私は全然気づかずにいたのですが、この松について、なんとか松といいましたね、と話しかけられたのです。私の方は、松の種類の話かな?とあいまいにうけこたえしていましたら、車のふたを開けて大学ノートを取り出して、ああ、これこれ、と指し示されました。どうやら、俳句を詠むために、ときどきの季語をノートに書いて、参照されているようでした。
拝見すると「鳥総松」。とぶさまつ、と読むのだそうです。門松を取ったときに、その門松のてっぺんのところを切って、門松のあった穴にさしておく、というしきたりがあるんですよ、と教えていただきました。
これはよいことを教えていただきました、ありがとうございました、とお礼を言ってお別れしました。(言葉遣いの加齢というものを感じながら話していましたね。う~む。)
きっと、一句、生まれたことでしょう。
お別れしてから、改めて見直すと鳥居の足元にあるんですね。
これと
これとで
対になっています。
なるほどねぇ。
全く初めて知ったことでした。
忘れないように、帰りの車中ずっと、とぶさまつ、とぶさまつ・・・と呟きながら帰ってきて、帰宅したとたんに「何でもノート」に「とぶさまつ」と書き込んで、ほっとしました。なにせこのごろ物忘れがひどくて、何かするはずだった、という記憶だけ残っていて、それが何だったかを忘れることが多くて・・・いや、トシだ。
とぶさ‐まつ【鳥総松】新年の門松を取ったあとの穴に、その松の梢を立てておくもの。 <季語:新年> [広辞苑第五版]
なるほど、ちゃんとありました。
ネットで検索してみたらこんな話がありました。
http://dictionary.www.infoseek.co.jp/?ii=2&sm=1&sc=1&gr=ml&qt=%A4%C8&sv=KO&lp=183
「とぶさ」の解説です。
梢(こずえ)や枝葉の茂った先。昔、木こりが木を切ったあとに山の神にその梢や枝を折って立てておく風習があった。今も、門松を取り払った跡に小枝を挿す習慣が残る。
そうだったのか。山の神様を鎮めるという意味があったのか。木を切らせていただいた山の神様に礼を言い、と同時に、荒らぶり怒ったりなさらないようにとの、鎮めの行為なのですね。
いやまったく、よい話を伺いました。
◆江戸の手拭いに「斧」「琴」「菊」を染めたものがあるそうです。
斧の別称は「よき」。ですから、三つ並べて「よき、こと、きく」。
「善・良・佳・好き 事・言 聞く」というわけです。
近頃は悪しきことばかり聞こえてきて、悲しく、心が荒む思いです。
よきことを聞きたいですね。
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