ビリビリ
右下の指は私の指です。指で電球の足をつまんで、もう一方の足をコンセントにつ込んで、電球がついていますよ。
感電しないんですか?ビリビリしないんですか?
大丈夫なんですね、これが。
コンセントをよく見てください。向って左の穴の方が少し長いですね。こういう違いがあることに気づいていらっしゃったでしょうか?
家庭に入ってくる電線2本のうち、1本は地面にアース(接地)されています。地面を電圧の基準にして、そこから100Vとなっているのです。電気工事士さんが間違えていない限り、コンセントの長いほうの穴がアース側です。
電圧というのは「電気的な山の高さ」のようなものですから、どこかに高さを測る基準がないと測れないんですね。理論的には「無限遠」を基準にとったりしますが、実用的ではない。そこで、地球を基準にして地面を0Vとし、そこから電圧を測るのです。(神様がいたずらして、誰も知らない内に、地球に電気を送り込んだとしましょう。無限遠を基準にしていると、地球の電圧が変わったことが分かりますが、地球上に住んでいて、地球を基準にしている限り、何にも変化なしなんですよ。エレベーターの中で床から1mのところに物をもっていたとして、エレベーターが上下しても床から1mということは変わりませんね。それと同じです。)
さて、上の写真、ネオンランプという、電圧がかかると小電流で光ってくれる電球なんです。(電流を制限する抵抗も入っていますが、後でお目にかけます)。
2枚の極板の間で放電して光っています。
つまり、アース側じゃない方の線と、アース側の地面に建てられた家の中に座っている私の間に、基本的には100Vの電圧があって、その電圧によって放電して光っているのです。ただ、非常に微小な電流なので、感電などはしません。
ただ、乾燥していて絶縁がいいので、あまり派手には輝いてくれません。
同じようにして、電球の足を、アース側に差し込むと・・・
光りませんね。
電位差がないので光らないのです。
電球の2本の足を、まともにコンセントに入れると、強く輝きます。
まともに100Vがかかると、こんな輝きなのです。
手で持って光らせた時には弱くしか光りませんでしたから、100Vはかかっていなかったことが分かります。
電球の構造はこうなっています。2本の電極があって、その間で放電して光っているのがよく分かると思います。
電球の中には主としてネオン・ガスが入っています。放電しやすくするためにアルゴンなどもはいっています。
電極は鉄かニッケルです。
実は、このように、足の一方に、抵抗が直列に入っていて、電流制限をしています。
◆このネオンランプは、アイロンを分解したときにパイロットランプとして入っていたものを取り出しました。発熱体や雲母などが見られないかな、と思って分解したのですが、もう、錆びついていて、何も取りだせませんでした。このネオンランプが唯一の収穫。
復元する必要のない、破壊的な分解って楽しいですよ~。私の趣味です。
◆小学生のころ、家のコンセントを修理に来た電気屋さんのそばで、中が見たくてずっと仕事を見ていました。
電気も長く扱ってるとな、一日一回くらいは感電して、ビリビリしないと調子が悪いんだ。ほら、といって、電線に触って見せてくれました。何も知らない私は、電気屋さんってスゴイんだ、感電しても平気なんだ、とびっくり。坊主はまねすんなよ、修行を積まなくっちゃできなんだ、素人がやると下手すると死ぬぞ、と脅されました。(コンセントにピンセットを突っ込んで、派手なショートをやらかして、親に叱られたりしてましたから、少しは懲りていましたし。)
以来、アースの仕組みを知るまで、私は、信じ込んでいたのです。
アース側に触れるのであれば、大丈夫。絶縁の関係で、多少ビリビリすることはあるかもしれませんので、決してお勧めはしませんが・・・。
壁のコンセントから、延長コードで引き出したコンセントの場合、どっちがアース側になっているか分かりませんので、気をつけてください。次回書こうと思っていますが、検電ドライバーが必要です。くれぐれも、気軽に電線に触らないで下さいね。
« ミナミトゲヘリカメムシ その後 | トップページ | 宇宙の塵 »
「理科おじさん」カテゴリの記事
- 化学の日(2022.10.26)
- 秒速→時速(2022.09.01)
- 風速75メートル(2022.08.31)
- 「ウクライナで生まれた科学者たち」(2022.05.31)
- 反射光(2022.05.09)
コメント