ミトコンドリア
2008.12.22付 朝日歌壇より
いっしょだね生老病死の全過程わたしのなかのミトコンドリア:(新潟市)太田千鶴子
永田和宏さんの選です。さすが、生物学者という感じですね。
ところで、歌の作者は女性です。お子さんはいらっしゃるでしょうか?もしいらっしゃれば、実は太田さんのミトコンドリアはお子さんに引き継がれています。遺伝子の場合は遺伝子がかきまぜられてしまいますが、ミトコンドリアは母系のみが子に引き継がれます。
ですから、母親というものは、自分の母親から引き継いだミトコンドリアを、自分の死を超えて子につないでいくのです。
もちろん、精子にもミトコンドリアはあります。ミトコンドリアはエネルギー生産工場ですから、激しく運動する精子にミトコンドリアは必須です。うち振る尾の付け根の付近にいっぱいあります。ですが、受精の際には、精子のミトコンドリアは外に取り残され、卵子の中には入れません。もし、入り込んでしまっても、卵子の側がそのミトコンドリアを排除して壊してしまいます。結局、受精卵が持つミトコンドリアは母親が卵子に持たせたものだけなのです。
この仕組みがなぜそうなのか?わからないのですが事実です。
さて、上にあげた歌に、もう一節付け加えることが許されるならば
次代につなぐわたしのいのち
かな?拙劣で申し訳ありません。
「崩彦俳歌倉」カテゴリの記事
- 榠樝(2021.02.01)
- オオスカシバ(2020.10.06)
- 猫毛雨(2020.04.20)
- 諏訪兼位先生を悼む(2020.03.25)
- ルビーロウカイガラムシ(2020.01.17)
!!!!!!
母親のミトコンドリア「しか」残らないのですか!
なんだか、ショックです。
全く知りませんでした。
本当に、ここは勉強になります。
松の内は過ぎてしまいましたが、あえて。
明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
鎖となりて、繋がるいのち
う~ん、かかし先生の方がすっきりしてていいですね。
ときどき、DNAに思いを馳せますが、膨大な記憶にくらくらします。
投稿: みみこ | 2009年1月10日 (土) 02時10分
ミトコンドリア・イヴって聞いたことはありませんか?
ミトコンドリアが母系でつながっていること、ミトコンドリア自身もDNAを持っていること、を使って、現代の女性のミトコンドリアのDNAを分析していくと、アフリカにいた少数の集団にたどり着くというのです。
面白くするために、あたかもたった一人の女性にたどり着くような話にして、「イヴ」というのですが、正確には「比較的少数の女性集団」というべきでしょう。
おもしろいことです。男性の場合はつながっていませんので、男性特有のY染色体の分析という話もありますが、Y染色体はやはり染色体ですから、いろいろ混ざってしまうのです。アダムというわけにはなかなかいかないようです。
投稿: かかし | 2009年1月12日 (月) 11時21分