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2009年1月 8日 (木)

金・木星

2009.1.5付 朝日歌壇より
西空に二つ夕星金星と木星並ぶ良き香りせむ:(牛久市)伊藤夏江

金星と木星が並んだシーンは、私のブログでも載せました。
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/post-d216-1.html
このほか、月が一緒に写った写真もその後のところにあります。

この歌のポイントは、実景そのものよりも、「金星 木星」と並べてかいたり読んだりした時に「金木犀」の語感が脳裏に浮かんだということでしょう。それが「良き香りせむ」となるわけですね。
理科系人間には思いつかないイメージと言葉の結びつき方でした。
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ところで、下の図を拡大して見てください。星の大きさは完全にデタラメです。太陽と地球の大きさの関係はこんなものではありません。位置関係だけに注目してください。
Venus
図は地球(E)の北極側の遠くから太陽系を見ているという設定になっています。
惑星の公転軌道上での動きは、反時計回りです。また、地球の自転方向も反時計回りです。
地球には常に昼夜があるわけですが、夕方というのは矢印で示したあたりになります。明け方は夜から昼へ向かう途中にあります。
金星は、地球より内側を公転していますので、図で分かるように、EAの外側に出ることはありません。角AEBを最大離角といい、約47度くらいです。ですから、明けの明星も宵の明星も、地平線から最大で47度くらい上までしかあがりません。
今回、たまたま、木星が、弧ABの間に来ていたので、金星と木星が同時に並んで見えたのです。

人間が星を見る目、神が太陽系を見おろす目、その二つを同時に意識しながら見ると、また感興が違うのではないかと考えて、こんな解説をしてみました。

理系人間は、細部が分かれば分かるほど謎が増えロマンが増す、と考えます。
今年は、ガリレオが望遠鏡で天体観測を始めてから400年ということで、国際天文年です。どうか、天文現象をお楽しみください。

◆ところで、ガリレオは、月の「陰影」を見て、山や谷だと判断しました。人類として初めて見たものをきちっと認識できる、ということはとてつもないことです。人は、既にある認識枠に沿って観察し認識します。認識枠がないところで物を見ても、何を見ているのか分からないのです。科学研究の最前線というのは、そういう場所です。新たな認識枠を創造するのです。これが科学の面白さなのです。

ガリレオは、月に山があると考えて、その影の長さから山の高さを推定しようとしました。とてつもない想像力です。

ガリレオは、木星の衛星を発見しました。でも、「回っている」とは見えなかったはずです。木星に対して位置を変える小さな星があることを見ただけのはずです。それを「木星の周りの公転」と認識したわけです。そのアナロジーから、地球が太陽の周りを回ってもいいと考えたのです。

ガリレオは、「土星の耳」を発見しました。これが「輪」であると認識することの大変さを想像してください。

ガリレオは、太陽の黒点を発見しました。太陽のごく近くを回る星であって、完璧な存在である太陽そのものに黒いしみがあるはずがない、という議論に、丁寧に反論しています。

ガリレオが残した黒点の観測記録を分析すると、太陽の自転周期とちゃんと一致することが分かります。ガリレオの観察記録に「恣意性」がなく、本物の誠実な観察記録であることが分かるのです。私のホームページ「案山子庵雑記」にそのことを解説しましたので、興味のある方はお読みください↓
http://homepage3.nifty.com/kuebiko/science/freestdy/SunSpot.htm

宇宙論は今も進展を続けています。分かれば分かるほど分からなくなる世界です。
「トンデモ本」ではない、本物の天文学をお楽しみください。

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