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2008年11月12日 (水)

海馬

2008.11.9付 朝日歌壇より
もしかしてどこかでお逢いしたことがあるかと笑ふ父の海馬は:(箕面市)大野美恵子

海馬というのは脳の器官です。記憶や空間学習にかかわります。アルツハイマー病の最初の病変部位でもあります。

こう書けば、どなたにも歌の意味が明瞭になるでしょう。
お父様がいわゆる認知症になり、娘の顔を見て「もしかしてどこかでお逢いしたことがあるでしょうか」と尋ねられた、という歌なのです。

年をとるということは、つらいことですね。できることなら、自分の死の直前までちゃんとした意識で迫り来る死を克明に観察しながら死にたい、と強く願っています。

戸塚洋二さん、筑紫哲也さん、緒方拳さん、渥美清さん・・・

この発言は嫌がられるかもしれませんが、私から見て「よい死に方」をなされました。ご本人がきちっと意識を保ち、周囲が十分に覚悟を決める「時」をもち、きちっと対処されて逝かれました。

戸塚さんの本なども読んでおります。深く心に染み入る次第です。

私のこのブログが「a few more years」と題せる日が来ますように。

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