おとな
2008.11.17付 朝日歌壇より
おとなにはなりたくなかったおさなき日おとなになれずおとなになっている:(城陽市)山仲勉
高野公彦 評:なりたくなかったのに大人になってしまった。しかも内面は大人になれず、外面だけ大人になった、という嘆き。
おとなになるということがどういうことなのか、60歳の私にもいまだに分からずにいます。
外面はじいさんなのですが、将来が全く見えはしない。
朝日俳壇より
先々の事まで読めずそぞろ寒:(香川県)湯川雅
稲畑汀子 評:先々のことを考えている作者の心の動きを季題が語っている。
若者は、大人はずるいと思う。自分の将来なんて見えやしない、と思う。大人は訳知り顔で説教するけれど、「青春時代の真ん中は道に迷っているばかり」だと思う。
60歳になって、迷いっ放し、迷いは深まるといった方がいい。人生の決着をどうつけたらいいのか。老人も道に迷うばかりなのです。
ここで「そぞろ寒」という季語はどうでもいいのです。夏のさなかも、道に迷う「心」は、ひとり寒いのです。
確実に読める先々のことはただ一つ。「もうすぐ死ぬ」ということだけです。その「もうすぐ」が問題なんだよなぁ。
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