案山子(かかし)
2008.11.3付 朝日歌壇より
猫車案山子を乗せてゆつくりと木犀匂ふ径をもどり来:(神戸市)内藤三男
永田和宏 評:猫車は一輪車。用済みの案山子を乗せて、もう秋も終りに近い。
一枚の田んぼに案山子十五人衣装を凝らし傘さすも居る:(高槻市)山口佐智子
稲架ごとにもたれて雨に打たれ居る案山子に男女老若のあり:(千曲市)佐藤基夫
今回は、3つの歌が選ばれていました。
この時期、もうかかしさんも用が済んで、解体されて、土に還る頃。
私も、人生の秋が深まっていく感がひしひしと身に迫っております。だ~れか、私を猫車にのっけて、還るべきところへ運んでくれないかなぁ、楽でいいんだけどなぁ。
老男案山子は稲架ならぬ椅子の背に凭れて、「秋」の夕陽を眺めています。
老爺心:「稲架」は「はさ」と読むんでしょうね。
はさ【稲架】(新潟・富山・福井・岐阜などで) 稲掛。稲架(トウカ)。はざ。<季語:秋>[広辞苑第五版]
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