うつせみ
ヤツデの花や、その花に集まる虫たちを撮影していた、その株です。
ふと下を見たら、葉の上にセミの抜け殻がありました。夏の名残りがこんなところにひっそりと。
秋も深まってこんなところに発見すると、なんだか「詩的」な気分にはなりますね。
広辞苑第五版から
うつせみ【現人】(ウツシ(現)オミ(臣)の約ウツソミが更に転じたもの。「空蝉」は当て字)
①この世に現存する人間。生存している人間。万葉集1「―も妻を争ふらしき」
②この世。現世。また、世間の人。世人。万葉集4「―の世の人なれば」。万葉集14「―の八十ヤソ言の葉ヘは繁くとも」うつ‐せみ【空蝉】(「現人(ウツセミ)」に「空蝉」の字を当てた結果、平安時代以降にできた語)
①蝉のぬけがら。 夏 。古今和歌集哀傷「―は殻を見つつも慰めつ」
②転じて、蝉。後撰和歌集夏「―の声聞くからに物ぞ思ふ」
③魂がぬけた虚脱状態の身。新内、藤葛恋柵「身は―の心地して」
④源氏物語の巻名。また、その女主人公の名。伊予介の妻。源氏に言い寄られるが、その身分や立場のゆえに悩む。夫の死後は尼となり、やがて二条院に引き取られる。うつせみ‐の【現人の・空蝉の】枕詞:「身」「命」「世」「人」「妹」にかかる。万葉集1「―命を惜しみ」
まるっきり季節がずれてしまったこの状態を詩的には何と表現したらいいのでしょうね?
「冷まじい(すさまじい)」とでもいうのかな。秋の季語だというのが気にくわないけれど。
地上の生を終えて 地下に戻りしか 冷まじや:崩彦
こんな具合でいかがですか?
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