虫の音
2008.10.13付 朝日俳壇より
虫の音に取り囲まれてしまひたる:(盛岡市)浅利清香
虫の音に包まれ星を仰ぎをり:(芦屋市)田中節夫
虫時雨という季語もありますが、このように「囲まれ」「包まれ」ている、というのはより身に迫る表現ですね。
これも、虫が鳴きはじめたな、秋か、と感じたすぐ後に、わっと虫の音に囲まれてしまって、一挙に秋に浸ってしまうのですよね。
子どものころ、コオロギやスズムシを飼育しました。知識として、翅をこすり合わせて音を出し、羽がそれを大きく広げてくれる、と、知ってはいても、羽を立てて鳴く姿を実際に眺めるのは感動的だったことを思い出します。
蛇足:私たちが遠くからでも聞こえるほどの音量で虫たちは鳴いていて、自分自身はその音がうるさくないのでしょうか?
実は、音が出る瞬間は、自分の耳の(脚にあるというやつです)感度を、自ら落とすことができるのだそうですよ。耳栓をしながら鳴いているようなものですね。
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