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2008年10月10日 (金)

ウラナミシジミ(メス)

1002uranamisijimif1 ちょっと大型のシジミチョウが飛んでいたので、よく見たらウラナミシジミでした。最近はあまり見かけていなかったので、嬉しくなりました。

青い色合いが翅の真ん中辺に集中しているので、これはメスでしょう。

ずいぶん毛がふさふさしていますね。

後翅の後端にかわいい尾状突起がついています。

1002uranamisijimif2 翅を閉じたところを見ると、後翅の後端には小さな目玉模様のようなものがあります。そのつもりになってみると、尾状突起は触覚のようにも見えます。

これは一種の擬態で、こっちが頭だよ、と示しているのだとも言われます。

さて、本当かどうかは知りません。これで、鳥に襲われた時などに、鳥の予想とは反対方向に飛び去るので生き残りの確率が上がる、かどうかは分かりません。

ウラナミシジミの本当の気持ちはだれにも分かりません。今度見かけたら、この話を思い出して、このチョウの「前後」について考えてみてください。

1002uranamisijimif3 真上からのショットが撮れました。

きれいですねぇ。

ふわふわ暖かそうなのですが、このチョウは多分東京では生き残れず死ぬでしょう。

暖かい土地でしか繁殖できないチョウなのです。成虫になっては遠くへ飛び、その地点で産卵、孵化、蛹化、羽化を繰り返して、暖かい季節の間中、広まっていきます。北へ広まったものは、その土地の冬に出会って、死滅します。

こういうことを繰り返しているのです。この小さな美しい蝶を見たら、ぜひ思い出していただきたいものです。関東以北では特に、激しいフロンティアにいるチョウなのです。

冬は越せないね。今、精一杯、生きておくれ。それが君の生き方であり、私の願いです。

◆こういう生態を「無効分散」といいます。

魚の場合「死滅回遊」という言い方もありますね。南の海の魚たちの、卵や稚魚が海流に乗って北上し、成長はするのですが、冬を越せずに死滅する、ということを繰り返す生態です。

魚の場合だけではなくて、昆虫でも、こういうことはいっぱい起こっています。

最近はアオスジアゲハを関東でも普通に見かけ、蛹で越冬していますが、以前はアオスジアゲハは南方性のチョウですので、関東では繁殖できないといわれたものです。

クモなどでは、子グモが腹端から糸を流し、風に乗って遠くへ散らばっていくことがよく知られていますが、大部分は死滅するでしょう。そもそも陸地に降りられるかどうかも分からないのです。陸地に降りても、先住のクモと食料を争わなければならないし、冬が越せるかどうかも分からないし・・・。大部分は死んでしまうのです。

なんでこんなことをするのでしょうか?

実は、生物がその生息地を広げていくのは、基本的にすべてこういうやり方によってなのです。植物だって同じです。

富士山の森林限界は、より北側の山脈の森林限界より低いのです。これは、富士山が新しい山であり、植物たちの生息フロンティア(最前線)は今も山登り中だからです。死んでは広がり、広がっては死ぬのです。

当然、昆虫や、その他の動物たちも、その後を追って、山登り中です。

むき出しの自然、というものは決して生き物たちに優しい、フレンドリーなものではありません。生き物たちがいようがいまいが、そんなことは自然にとっては関係のないことです。

生きものたちは、長い年月をかけて、自然に挑み、生息範囲を広げてきました。そのようにして「生物的自然」が形成されてきたわけです。その間、生息可能な範囲を広げる最前線では、「シシュポスの岩」「賽の河原」のような「果てしのない徒労」が「億」を単位とする年月の間繰り広げられてきたわけです。

そうしてつくりだされたのが「生物的自然」。

しかし、生物的自然が、人間に対して「優しい」ということはありません。人間を狩る大型動物もいたでしょうし、寄生虫、病気・・・毒のある植物や動物・・・。

人間は、自分にとって都合のよい生物のみの存在を許した空間を作り出しました。あえて名づければ「牧場的自然」です。

最近、「自然は優しい」などという言葉がはやりますが、ウソです。

正しくは「牧場的自然は優しい」です。なにせ、危険なものの存在を排除した空間なのですから当たり前のことでしょう。

それを忘れて、「生物的自然」や、たんなる「自然そのもの」が優しいような錯覚を起こすと、手痛い反撃を食らうことになるのです。

私のこのブログのカテゴリー分類はこんな考え方に基づいたものです。

生物と無縁な、自然。生物の中で、かかわりの深い、植物、動物。人間のやることは、人事、というわけです。

ちょっと、饒舌になりました。ウラナミシジミに刺激されましたね。

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