ふと覗くと、カマキリが何かしている様子。
その動作をやめて、何か用か?といつものように訊かれてしまいましたので、どうぞそのまま、といったん通り過ぎました。
ちょっと間をおいて静かに動きを察知されないように近づいて行ったら
食事中だったのでした。
フウセンカズラの花にやってきたミツバチでも食べているのでしょう。
飼育下でカマキリの食事はいくらでも見たことがあるのですが、自然環境下での食事を見るのは珍しいことです。
苦手な方はサムネイルをクリックしない方がいいかもしれません。
でも、これが「残虐な行為」だとだけは思わないでください。
残虐さということについていえば、ヒトのほうがはるかに残虐だと思います。
こうやって生きる。堂々と、必要な命だけをもらって自分の命にして生きる。カマキリを飼育していると、餌をやりすぎることがあるんですよ。そういうときに無自覚な餌(オンブバッタなど)がカマキリの前へ行ったり、体に触れてしまうことがあるのです。そういうとき、カマキリは空腹になるまではカマで餌を振り払ってどかせて、食べようとはしません。無駄な殺生はしません。
また、肉食性の昆虫はきれい好きです。(猫と同じ)。食事の後はカマを掃除し、触覚を掃除し、複眼の汚れをふき取り、きれいにします。カブトムシを飼育すると当分たっぷりの果実にまみれて、体がカビそうになったり、ダニにつかれたりして、べとべとで生きています。
カマキリは実に身ぎれいな昆虫です。
よく、メスがオスを食べてしまう、といいますが、6年間も飼育して、交尾を見続けてきて、オスがメスに食べられてしまったことはありません。交尾終了直後にオスはメスから、パッと飛びおりてしまうのです。屋外でしたら、それでもう1メートルやそこらは離れてしまうことでしょう。飼育下ではケースのサイズしか離れられませんからすぐに介入してオスを外へ出してしまえばいいのです。そうそう食べられてしまってはたまりません。9月も終わりころ、10月に入ろうかというころ、寒くなって動きが鈍くなるとオスが食べられてしまうことはあるかもしれませんけれどね。
観察例が少なくて自信はないのですが、オスがメスの摂食行動を抑制できるのではないか、という気もしています。
通常はオスはメスの背後から近づいて行って飛び乗って交尾姿勢に入るのですが、オスがメスの真正面から近づいても捕えられずに飛び乗れるようなのです。
私が見た限りでは、オスとメスが正面から向き合って、睨みあいに入ったとき、オスが羽の下で腹部を左右に大きく振るのです。それを見たメスはじっとしたままになり、オスが正面から跳び乗ることを許容するように見えました。
専門家にうかがって確かめたいものです。
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◆教師現役中、定期テストの監督に行ったら、国語のテストで「山月記」が出題されていました。監督しながら文章を読んでいて、山月記を素直に読むことのできない自分に気づきました。
虎が兎を食う、口が血まみれになっていた、けだものになった自分を恥じる、人間の心が失われていく・・・。
私にとって、虎こそが高貴なる精神の持ち主であって、名誉・名声に執着する人間こそみすぼらしい下劣な存在に感じられたのです。
虎が兎を食う、一点の恥もない行為です。尊厳ある生き方です。高貴な生き方です。
人間社会の名誉など、生きることの意味たりえないですね。
カマキリの足元にも及ばない愚劣な人間が多すぎませんか?(言い過ぎかな?)
人間社会が高貴な精神で満たされるのはいつの日か?その日まで果たしてヒトという生物は絶滅せずに生きながらえられるか?
どうも、昆虫好きになりすぎると、人間に対して虚無的になってしまうんですよ。
父「すべてのひととひとの間から、力関係が消滅し、穏やかになぎわたる日、それが私の願いなんだよ」
娘「父さんそれは無理だ」
父「どうして?」
娘「だって私らサルだもん」