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2008年8月14日 (木)

吸水行動

◆「ハチとアリ」の記事に桔梗さんから、アシナガバチが水を飲むようだ、というコメントをいただきました。それに対する私のレスポンスです。

実は、あれは、水を胃にため込んで巣に帰り、巣にその水をかけて水の蒸発熱で巣を冷やすという行為なのです。あまり高温になっては幼虫の成長によくないのでしょう。水冷式のクーラーなのです。
 ミツバチも同じように水を飲んで帰って、巣を冷やします。ミツバチの方は集団で羽ばたいて巣の中に風を送り込みますが、やはり温度が高すぎると単なる空冷ではまにあわず、水の蒸発熱を利用するようです。(冬場寒い時は、ハチたちの筋肉の発熱で暖房します。)
 
 チョウが吸水するという行為もおなじみですが、こちらは自分の体を冷やすため、とか、水に溶けている栄養塩類を吸収するためとか言います。きれいな水より、立ち小便の水たまりのような水が好きで、群がって吸水します。

その後、以前に買った「蜂は職人・デザイナー」INAX BOOKLET 1998年発行 という本をひっくり返してみましたら

夏の暑い日などの巣温の上昇に対しては、ミツバチ、アシナガバチ、スズメバチいずれの種も、打ち水をして団扇であおぐ。すなわち、水を採集してきては巣内各所に撒いたうえで、働きバチがいっせいに翅を震わせて扇風行動を行い、気化熱で巣温を下げるのである。

このように書かれておりました。スズメバチも打ち水をやるんですね。

また、「昆虫―驚異の微小脳」水波 誠 著、中公新書1860 によりますと

ミツバチでは、巣内の温度が上昇すると多くの働きバチが巣門で翅を震わせて巣内に冷風を送り込み、また他の働きバチは水を巣内に運び込んで気化熱を利用して巣内の温度を下げる。ハインリッヒによると、ミツバチの巣の中心部の温度は常に34.5℃±0.3℃の範囲に保たれ、幼虫が速やかに成長するための最適温度が維持されている。一匹一匹は変温動物であるミツバチも、コロニー全体としてみると「恒温動物」として振る舞うのである。(太字は原文のまま)

ということです。

◆チョウの吸水行動も有名ですがここではいまさら立ち入りません。

◆カマキリを長年飼育した経験からすると、カマキリは単なる真水をゴクゴクと飲みます。

飼育箱のネットに水滴をつけてやると、口をつけてごくごく飲みます。これはハチのような「打ち水」用の水でもないし、チョウの様な「塩類補給」「体温低下」のための吸水行動でもないようです。

ただ単に「のどが渇いた。水をゴクゴク飲んで、あ~おいしかったぁ」という行動のように思えました。自然界においても、カマキリが葉の上の水滴などに口をつけて水を飲むという行動をすることが知られています。

◆で、今日、アサヒ・コムでこんな記事を見つけました。

アオバト、ミネラル補給に舞い降りる 群馬の山中(アサヒ・コム 2008年8月14日8時16分)
 群馬県上野村野栗沢の山中で、観察用の小屋に隠れて30分余り。バサバサという羽音とともに、直径50~60センチの小さな水たまりのそばに数十羽のアオバトが舞い降りた。ひしめき合って競うように口をつける水たまりの水は、岩肌からしみ出る鉱泉だ。
 野栗沢で民宿「すりばち荘」を経営しながら、長年観察を続けている黒沢武久さん(66)によると、すぐそばを流れる沢の水はほとんど飲まないという。村で見かけるのは5月下旬から10月下旬ごろまでで、冬季は南下する。黒沢さんが数えたところ、今年は例年より多い約980羽が飛来している。
 アオバトは体全体が黄緑色でオスは羽が赤みを帯びており、温泉や海水を好んで飲む変わった習性を持つ。山階鳥類研究所によると、ミネラルや塩分を補給するためとみられる。全国に分布するが、生息地は主に標高400~1300メートルの落葉広葉樹林帯で、市街地ではめったに見られないという。神奈川県大磯町では海岸に海水を飲みに来ることで知られる。

陸上動物にとって、水の不足も危険ですが、ナトリウム分の不足も危険です。馬や牛が岩塩をなめるというのはよく知られています。ヒトも塩味に対する感度は非常に高く、塩分不足への警戒感が高いことを示しています。尿中にナトリウムを無駄に捨ててしまわないような回収システムもしっかりしています。

上の記事では、アオバトがミネラル補給をするのですね。海岸で海水を飲むこともある、となっていますから、ナトリウムの補給がいかに大切であるかということがよくわかります。

◆みみこさんからは、「アオスジアゲハ」の記事にコメントを頂き、その中で

アオスジアゲハ?が、波打ち際近くで何かしていました。何かを吸っているようでしたが・・・・。

というお話を聞かせていただきました。

海水を飲む、塩まみれの砂に水をかけて溶かして飲む、浜辺の動物のふんや死骸に水をかけて表面を溶かして飲む・・・そんな塩分補給の行動だったのではないでしょうか?

◆普通、昆虫や小動物は水を飲まなくてもそう水不足にはなりません。餌自体が含む水分で十分だとか、栄養を代謝すると代謝反応から水が生成するのでそれで十分だとかです。

もし、動物の吸水行動をご覧になったらその意味を考えてみてください。よろしく。

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コメント

かかし先生、いつも、本当にご丁寧なお返事をどうもありがとうございます。

ナトリウムの摂取とは、びっくりしました。
アオスジアゲハだと思ったのですが、他に思い当たる蝶がないだけで、確かではありません。すみません。

波が引いた、湿った砂の上に降りて羽をふるわせ、次の波が来る前に飛び、また降りる。

青いきれいな模様が、ちらちら見えて、きれいでしたが、必死なのかなぁ?とも思いました。

今、我が家のささやかな庭に、かまきりさんが一匹住み着いてくれています。ゴーヤとサンパラソルの辺りがお気に入りのようです。脅かさないように、そっとしていますが、いつかお水を飲む姿が観察できたらいいなぁと思います。

前回のお返事、私には大変慰めとなりました。
重ねてお礼申し上げます。

 飼育中のアオスジアゲハの幼虫が、枝の分かれ目についていた水滴に口をつけました。水を飲んだのかどうか完全には分かりませんが、なんだか一口コックンという感じではありました。かわいい動作でした。
 意外と多くの昆虫が水を飲むのかも知れませんね。見るチャンスがないだけで。
 虫さんと生活していると、いろいろおもしろい事をみせてくれます。
 かまきりさんが居ついて、いろいろなことを見せてくれると楽しいですね。「何か用かね」という感じで見つめられたことはありませんか?カマキリはよくそういう表情をします。


 

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