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2008年7月23日 (水)

オオムカデ

0719mukade1 土曜日恒例?撮影会!

7月19日(土)朝、起きて階下へ降りて行ったら、透明ケースの中に「ムカデ」が入っておりました。金曜の夜、風呂場に現れたムカデを、娘がこのケースに捕獲しておいてくれたのだそうです。さすが、かかしさんの娘はムカデごときにビビるようなことはありません。

上の写真が全体像です。透明なプラスチックケースの内側は1辺が約9cmですので、ムカデの体長もそんなものだということがお分かりいただけるでしょう。

1つの胴節に1対の歩肢ですから、ムカデの仲間ですね。一番後ろの「曳航肢」という長いのまで入れて、21対あるようです。(左側の9番目の脚を失っています。)

21対ということになると、これはおそらく「オオムカデ目」の中の種なんですが、オオムカデでいいと思います。(去年イシムカデというのをご紹介しました。それについてはこの記事の終りでリンクしますのでご覧ください。)

↓頭部付近を拡大しました。

0719mukade2 頭の両側に色の赤っぽい「ほっぺた」のようなものがあることに、全体写真でお気づきの方もいらっしゃるでしょう。

こうやって見てみると、大顎なんですね。触覚はこの写真では18の節からなっているようです。

0719mukade3 もっと拡大してみましょう。

私はこの写真で初めてムカデの「眼」というものを見ました。白い矢印の指しているのがそうです。

こんなところにあるんですねぇ。

大顎の内側にもっと小さな顎もあることが、よくわかると思います。

↓ケースを妻に持ってもらって、ケースの底から頭部の下面を撮影しました。

0719mukade4 ここでも白い矢印で眼の位置を示してあります。この写真の方が眼はくっきり写っています。

口の構造をもっとはっきりさせたかったのでいろいろ写してみました。

0719mukade5 口器ももとは体節の付属肢から進化したものですから、左右に開閉するのです。カマキリでもトンボでも同じですよね。左右に開閉します。(私たち哺乳類の顎は魚の口と同じですから、上下に開閉しますが。)

オオムカデの口も左右開閉型であることがよくわかりました。

ちょっと向きを変えて、腹端部を。

0719mukade6 一番終りの肢は「曳航肢」というのだそうです。

歩肢と同じく4つの節でできていますね。

この肢は歩肢なんですが、別に名前をもらっただけです。素早く歩くときは持ち上げて歩きます。

0719mukade7 歩肢は胴節にどんなふうについているのか、撮影してみました。

こんな具合です。

しなやかさにかけるな、という感じはしますね。

初めの方で、肢を1本失っていると書きましたが、それがありました。娘はムカデが窒息しないように、ケースのふたと本体の間にティッシュをはさんでおいてくれたのですが、そのティッシュにくっついていました。

0719mukade8 トカゲが尻尾を「自切」するように、ムカデは脚を自切できるのだそうです。

なんかの刺激を受けた時に、自切して、ティッシュにその肢が残ったのでしょう。

◆おまけ:ムカデは母親が体を丸めて、体と歩肢の間に卵を入れて保護します。抱卵中、母親は卵をなめ、カビの発生を防ぐのだそうです。もちろん、捕食者からの保護でもあります。抱卵中のオオムカデ目の母親を刺激すると、抱卵していた卵を食べたり放棄してしまいます。穏やかにしておいてあげないといけません。

◆さて、ムカデの体長からするとこのケース内で立ち上がれればギリギリ脱出できるくらいの状況です。撮影中に脱出されるのは面倒ですので、ケースの蓋をずらして、ムカデの様子を見ながら撮影しました。

撮影も終わり、妻に「これ逃がしてきてくれる?」と頼んでカメラを片づけていたら、外から妻の声がするのですね。「どうしたんだい?」ときいたら、ムカデに話しかけていたのです。庭の隅へ持って行ってケースの蓋をあけ、眺めながら「あなた自力では出られないの?」というわけです。結局のところ、ギリギリのところで縁に肢をかけて自力で脱出するのは無理だったようです。で、ケースを横にして「さよなら」と出してやったのでした。

虫さんたちに話しかけたり、危ないよ!と説教したり、どうも、妙な夫婦なのでした。

◆「多足類読本」の著者、田辺力さんはこうおっしゃっています。

ムカデには、獲物をとらえて食べるという肉食動物としての姿が見事に具現化されている。機能美なのだ。ムカデは造形として最高のできである。

◆進化の過程で、ムカデの姿にみられる「体節制」は、基本的な構造です。

 複数の体節をまとめて、頭・胸・腹をつくっていったのが昆虫ですね。

 私たち哺乳類の体も、脊椎を考えてください。やはり体節制を基本にしてつくられているのです。(魚を食べるとき骨を見てください。体節制ですね、やはり。)

ムカデを見たら、無脊椎動物の昆虫、脊椎動物のヒト、両方の基本体制である体節制の原型に近い形を今に見せてくれる「ご先祖筋」の動物として、進化に思いをはせて観察してみてほしいと思います。

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2007年10月11日 (木)に「イシムカデ」について書きました。

http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2007/10/post_91e9.html

↑ここをご覧ください。

翌、2007年10月12日 (金)に「多足類」についてくわしく書きました。

http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2007/10/post_9dda.html

↑ここをご覧ください。

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コメント

ご家族で小さな虫たちを愛してるなんて、素敵です!ムカデが私たちの進化に関係していたなんて驚きました。ムカデとは違うのですが、家の中に出てくる虫で同じように足がたくさんあって、もっと毛(?)がフサフサした、色はベージュ系で、これで分かりますでしょうか。ご存知でしたら名前を教えて頂きたいのですが。

 「ゲジ」ではないでしょうか。2cm程度で小型のタワシのような感じですが。5cmくらいあったらオオゲジ。
 ゲジはゴキブリなどを食べますので、「益虫」といってもよいのですが、姿形で嫌われがちです。
 以前、タワシを使っていて、手の中がむずむずするなぁと思ってよく見たら、ゲジも一緒に握っていたことがあります。ということは、噛みつかれればちょっと痛いのですが、人間の掌を食い破るほどの顎でもなさそうです。

http://mushinavi.com/navi_geji.htm
ここを見てください。お尋ねの虫かどうかわかります。違っていたら、また特徴などお知らせください。

謎が解けました(笑)。我が家に居るのはゲジでした。ムカデの仲間なのですね。
長い脚は敵に捕まったときに自切することができ、切れた脚がキチキチと音を立てて敵の気をそらせ身を守る、とありました。聞いたことありますか?ぜひ聞いてみたいです。ゴキブリなど食べてくれるとは知りませんでした。感謝しなきゃいけないんですね。

忘れ物がありました。
ありがとうございました。

 謎が解けてよかったです。ゲジゲジという名は知っていても、実際のゲジの姿を知っている人は意外と少ないのが実情でしょう。

 ゲジの脚の音は聞いたことがありません。

 昔、畳の床にひっくり返っていたら、ムカデが耳元を走って行って、カチカチというような音を立てていったような記憶があります。ちょっと金属音的でした。

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