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2008年5月27日 (火)

ヤスデの幼体

風呂場のタイルの目地にじっとしているところを、かかしさんに見つかってしまった、子ヤスデです。

0523yasude1 体長は2cm足らず。

頭以外の体節数が18くらいカウントできるのかな?

0523yasude2 大人のヤスデはこんなに頭は丸くないですけどね。かわいいですねぇ。

色も淡い飴色で毒々しさもないし。

◆ヤスデは倍脚綱(Class Diplopoda)という分類群を構成します。上の写真のヤスデがその中のどういう種なのかはさっぱりわかりません。

Diplo-はおそらくdouble、-podaは脚という意味で、倍脚綱です。

(tripod は三脚、tetrapodは波消しブロックの四本足のやつ、monopodはスポーツカメラマンなんかが使う一脚、centipedeはムカデ(centi=100)、 millipedeはヤスデ(milli=1000)です。)

「多足類読本」という本によりますと

第1胴節には歩肢はない。第2-4胴節にはそれぞれ1対の歩肢、それ以降の胴節にはそれぞれ2対の歩肢がある。2対の歩肢を持つ胴節は重体節とよばれる。1つの胴節に2対の歩肢があるのは、もとは2つの節が1つに融合したためである。・・・

ということです。素人の私がムカデかヤスデかを見分けるのは、この体節(重体節)1つに2対の歩肢があればヤスデ、と認識しているのです。

◆実は、今回、この小さなのを見つけて肉眼で見ても、老眼の私の視力ではムカデかヤスデか分かりませんでした。カメラを向けファインダーのなかに拡大された像を見て「ヤスデだぁ」と思わず叫んだら、同じテーブルで食事をしていた娘が笑っておりました。ヤスデごときにうろたえる娘ではありません(ウレシイ)。

写真を、再度検討してください。確かに前の方の体節には1対しか歩肢がなく、しばらく後ろの方を見ていくと、2対あることがわかるでしょう。

重体節の部分は、一つの体節でありながら、少しくびれがあるのもわかるかと思います。

◆上の2枚目の写真は、もし私が現役教員で物理を担当していたら、絶対教材に使いたいという写真です。(いまだに、「教師眼」が抜けきらなくて、「あっ、これ教材になる!」とすぐ思ってしまう私です。)

どこが物理教材なのか?肢を見てください。ムカデは胴をくねらせてしまうのですが、ヤスデは、胴をまっすぐのまま、肢を「(縦に)波打たせる」のです。

後ろへ蹴っている歩肢と前へ出している歩肢が重なって、「肢密度」の高くなった部分が体長の全長の中に3か所位見えますね。その間の部分は「肢密度」がまばらになっています。つまり、本来等間隔である肢のなかに「疎密波」をつくって後ろへ送り、その反動として前進しているのですよ。

音や地震のP波などの「疎密波=縦波」の説明に絶好の教材になります。(毛虫でもいいのですがなかなかいい写真はないですね。)

物理教師の方で、この写真が「使えるっ」という方はお使いください。

0523yasude3

ヤスデちゃんが入っているのは、プラスチックケースのフタの方なんです。

深い本体に入れて写真を撮ろうと思ったのですが、見ていると滑って登れないようです。で、フタに入れてみましたら、1cm弱の垂直面が登れなくて苦労しているのです。成体なら多分軽々と乗り越えて出て行ってしまうと思いますが、この赤ちゃんにはこのフタの深さが乗り越えられないのですね。

生まれて間もない幼い子猫は、レンガを並べておくだけで出ていけないですよね。レンガは子猫にとってはとっても高い壁です。子ヤスデには1cmのプラスチックの壁が越えられませんでした。

写真を撮って観察させてもらったあと、この子ヤスデは庭の隅の落ち葉のところへ放してやりました。家の中で一緒に住む気はないですが、外で生きていく分には自由です。大きくなったら会いに来てもいいよ、という気分ではありますが・・・。

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◆ヤスデで思い出す話があります。

ヤスデは時々大発生することがあるのですが、あるとき大発生したヤスデが鉄道の線路を渡っていたのですね。そこへ汽車が走ってきて、ヤスデを轢いてしまったのですが、つぶれたヤスデの体液で汽車の車輪が空転し、汽車が立ち往生してしまったのだそうです。

その汽車を立ち往生させたヤスデの名前は、この事件にちなんで「キシャヤスデ」といいます。

http://www.ffpri.affrc.go.jp/labs/kouho/mori/mori-52.html ここをご覧ください。このエピソードが載っています。(写真が気持ち悪いという方もいるかもしれません。そういう方は見ない方がいいかも。)

1976年の秋に,小海線の甲斐小泉―野辺山間でヤスデが大発生しました。この区間は急勾配なため,ひかれたヤスデの体液で車輪がスリップし,動けなくなった列車は6本,運休した列車は12本になりました。10月末の寒さでヤスデがいなくなるまでの約2か月間,ヤスデ駆除のために動員された人は,のべ331人で,人件費と使った殺虫剤や機材,代替バスなどの費用をあわせると430万円にものぼりました。
 ヤスデによる列車妨害は1920年に中央本線贄川―奈良井間と,北陸本線刀根―疋田間で発生したのが最初の記録です。その後,福井県,岐阜県,長野県,山梨県でヤスデによる列車妨害が報告され,また,西は滋賀県から北は栃木県にわたる範囲で,キシャヤスデ類の大発生が観察されています。

私自身は少年時代に、何かのラジオ番組でこの話を聞いて、感動したものです。

◆私のHPをお読みください。ムカデのジレンマというお話を紹介しています。

http://homepage3.nifty.com/kuebiko/science/freestdy/Mukade.htm

        ムカデはとても幸せにくらしていました。

        ところがある日、ひき蛙が面白半分に「どの足がどの足の後に動くのかな?」と聞きました。

        ムカデはそれ以来このことが大変気になってしまって、

        混乱してみぞに落ちたり、

        足がもつれて走れなくなりました。

こんな、話です。上の物理教材になる、といった子ヤスデちゃんにも、尋ねてみたらよかったかな?悩んだかもしれませんねぇ。

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