アブラムシ
これはカラスノエンドウの茎。
すごいものです。
さて、アブラムシ自体はそう珍しいものではありませんが、よ~く観察したことはありますか?
目の敵にされますが、案外とかわいい姿をしています。
ユニークなスタイルでしょ。
大小取り混ぜといいましたが、今ここに見えている「大小」は有性生殖による「親子」ではないと思います。
◆春から夏にかけて、条件のよい季節には「単為生殖」で増えます。アブラムシの単為生殖では、メスの体内で卵が発生して産み出されるという「卵胎生」のスタイルです。
アブラムシの染色体数は2n=6です。
卵はもちろん減数分裂でつくられるのですが、染色体数を半減させず2nのままの卵を単為発生させます。環境条件の良い時は、この方法で数を増やす方が効率が良いのでしょう。
秋になると、2n=5というオスを生じるようになります。そうして、メスの卵とオスの精子で有性生殖をして受精卵の形で越冬します。厳しい時を潜り抜けるには、子孫を絶やさないためには、多様な可能性をはらんだ受精卵を作る方がよいのだと思います。
◆これも高校生物で出てきますが、植物組織に「道管」と「篩(し)管」というのが出てきます。道管は水の通り道です。篩管は光合成でつくられた栄養分が送られる管です。
アブラムシは口先を茎に突き刺して篩管からこの糖液を吸います。(私の写真ではそこまでは写っていません。)
さて、一生懸命篩管から糖液を吸っているアブラムシの口先を、スパッと切ってしまうんですね。(かわいそうに)。
すると、茎に差し込まれたまま残ったアブラムシの口先の管から糖液があふれだしてくるのです。
この実験によって篩管の中は圧力が高くなっていることが分かりました。篩管という極細の管内の圧力測定などできなかったのですが、アブラムシの口のおかげで判明したのです。また、微量ですがあふれだしてくる液を分析することもできたのです。
篩管の中は、糖やアミノ酸が溶けていて、浸透圧が高いので水が浸入して圧力が上がっているのです。
◆アブラムシは篩管から吸水しながら、まだ当分の残った液をお尻から出しますので、それを目当てにアリがやってきて、保護してくれるわけですね。で、「アリマキ」とも呼ばれるわけです。
◆下のページには、アブラムシと、ブフネラという菌の共生関係についての話があります。読んでみてください、
http://www.brh.co.jp/seimeishi/1993-2002/32/ss_6.html
細胞内の巧みな共生 ─ アブラムシとブフネラにみる:石川統
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