ヨツボシオオアリ
アリもその気になってよく見ると、いろいろな種類が身の回りにいるのですね。
黒くて大きい、黒くて中くらい、赤くて小さい、という3種類くらいが私のぼんやりした認識でした。
ここでご紹介するのはヨツボシオオアリです。腹部の白い4つの斑紋が名前にもなっている特徴です。また腹柄の様子が、普通のアリとは全然違うようです。
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今年の3月5日の朝日新聞に、熊谷守一さんの「豆に蟻」という絵にまつわる話が載っていました。そこから、部分的に引用します。
なぜアリを描くのか
なぜアリなのか。
理由の一端は明白だ。熊谷守一は96歳のとき、「(自宅の)正門から外へは、この三十年間出たことはないんです」と話している。東京都豊島区千早の自宅からほとんど外出しなかったのだから、題材が身近なものになるのも、無理はない。
では、外の世界に全く関心がなかったのだろうか。
まるで逆だろう。「石ころひとつ、紙くずひとつでも見ていると、まったくあきることがありません」と語り、アリも地面にほおづえをついて見たという。
身近な昆虫、花から軒先に見える月まで、何でもお面白いものとして見る才能を備えていた。
それは、濃淡のない単色で平板に塗り、太い輪郭線で縁どる童画のような「守一様式」とも関係しているのではないか。どんな対象も、同じタッチで陰影なく、同じ輪郭線で描く。等価な色彩に、等価な輪郭。小動物から宇宙までを、等しく面白がり、慈しんで描く。だから立ちのぼる、温かさと詩情。
熊谷はこう語っている。「絵と言うものの私の考えはものの見方です」(大西若人)
①油絵の多くが4号の大きさ。熊谷の絵の具箱に入るサイズで、手に持って描きやすい面もあったようだ。
②ひっかき傷のように片仮名で記されたサイン。1950年代から本格的に使われたという。1文字ずつには意味がない仮名を選んだという見方もある。
③観察をもとに、熊谷は「蟻は左の二番目の足から歩きだすんです」と語っている。
私もまぁ、毎日、小さな庭へ出ると、それだけで1時間近くの時間を費やしてしまいます。虫や植物との出会いを楽しんでいるせいです。これで、自然教育園なんか行ったら一日かけて10m歩けますかね、あの生物密度の高い場所では。
◆さて、熊谷さんは「蟻は左の二番目の足から歩きだすんです」とおっしゃっているそうですが、この記事の冒頭、1枚目の写真をよく見てください。
左の2番目の足と、右の3番目の足が上がっているのが分かると思います。
う~む、熊谷さんの観察はすごい!!
6本の足を、「右の1、3と左の2」「左の1、3と右の2」というように常に3点確保で歩くのが昆虫の歩行の基本なのです。
このリズムはパターン発生器という神経回路でつくられています。パターン発生器は自律的にリズムを作れますが、脳の支配も受けています。(実はヒトなどの歩行も、基本リズムは脳が作っているわけではなく、パターン発生器を脳がコントロールしているのです。昆虫もヒトも基本原理はよく似ています。)
肉眼で、この3点確保の歩行パターンを見抜くという観察力は、さすが画家の眼力というものなのでしょう。
私はまだまだ修行不足ですから、肉眼ではアリの足の動きは見えません。写真に撮ってみて、それが写っているのを見て大感激しています。
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