還暦を迎えました
◆asahi.comからのコピーです。
サケ、命がけ産卵? 6~7秒心臓停止、北大院生ら確認
2008年05月18日09時36分サケは産卵の瞬間、心臓を止めている――。北海道標津(しべつ)町の標津サーモン科学館で実施された北海道大学大学院生らによる実験で、14匹のシロザケから、こんなデータが得られた。今年9月に米国で開かれるシンポジウムで発表される見通しだ。
産卵行動中のシロザケのペア。口を開けた直後に心停止が始まる=北海道標津町の標津サーモン科学館、牧口祐也さん提供
シロザケの産卵の瞬間の心電図(上がオス、下がメス)。波形がないところが心停止状態を示している
サケの心停止現象については83年に論文が発表されているが、この時は1ペアだけのデータだった。今回はこの論文を裏付け、心停止がシロザケ全体の生理現象であることを証明したとみられている。同大大学院の環境科学院博士課程の牧口祐也さんと、同科学館学芸員の市村政樹さんらの共同研究。産卵期の昨年11月、科学館に隣接する標津川とつながる魚道水槽で実験した。根室海峡から遡上(そじょう)してきた20匹に麻酔をかけ、心臓付近に電極、背中に心拍を記録する小型記録計を装着。水槽に戻し、動画カメラで撮影して産卵の様子を見守った。
オス5匹、メス9匹のデータがとれ、心電図と動画を分析。シロザケの心拍は通常毎分80~90回とされるが、メスが産卵し、オスが精子をかける時に、いずれも6~7秒間、心停止していた。牧口さんは「10拍分は止まっている。心停止は産卵時だけだった」と話している。
83年の論文をまとめた広島大学大学院生物圏科学研究科の植松一眞教授(魚類生理学)は「サケはタイやヒラメなどとは違い、泳ぐための筋肉を使い産卵する。その瞬間は全身の毛細血管が押しつぶされるくらいの状態だ。血圧を下げるために心停止するのではないか」と話している。(神村正史)
◆すごいことです。産卵は命がけ。そうですね、生物は基本的に次の世代へ命をつなぐために生きているのですから。それにしても、産卵のために心臓も止める、というのには驚きました。
◆この話を読んで、以前に読んだ柳澤桂子さんの「われわれはなぜ死ぬのか」1997年、草思社刊 の中の記述を思い出しました。
河の流れをのぼりきったところで、サケは産卵する。雌のために産卵の場所をあらそって確保するのは、雄の役目である。産まれた卵に精子をかけ終わると、サケは死ぬ。産卵を終わった雌も死ぬ。
産卵後のサケは、組織学的な変化と生理学的な変化の総合的な結果として死に至るものと思われる。まず、産卵期のサケは、食べ物を摂取することができなくなる。腸の上皮細胞は、ほぼ完全に消失し、脂肪の蓄えは使いはたされる。
サケが成熟すると性腺のステロイド・ホルモンの分泌が増加する。その結果、血中の副腎皮質ホルモンの濃度が5倍以上に増加する。
この副腎皮質ホルモンの濃度が高くなることによって、サケのからだは劇的に変化すると考えられている。まず、腎間細胞の核が大きくなり、からだ中の組織に変化があらわれる。心臓冠動脈、腎臓やその他の動脈の内皮細胞が異常増殖する。これは、ヒトの心臓冠動脈疾患の病理像と非常によく似ている。肝臓、心臓、脾臓、胸腺の細胞は核がこわれて細胞死をおこす。心筋細胞は変性して破壊される。しかし、筋肉細胞は正常な像を保っている。皮膚にはカビが増殖し、免疫反応は極端に退行する。
性ホルモンの働きによって、一時的に副腎皮質ホルモンの濃度を高くすることによって、からだ中のすべてのエネルギ-を生殖に向けて集中的に発揮し、それがすんだときには、からだは使いはたされて死に至る。ここには老化はなく、青春から瞬時にして死へと突き落とされるのである。
体中のエネルギーを「燃やし切って」しまうのですね。生殖の後には生は要らない、という生き方のすさまじさに打たれます。
◆ヒトは、生殖・育児の後にも長い生の時間を持つ生物です。でも、やはり子育て後の長い生は、「その次の世代(孫世代)を育てる=社会を維持し育ててていく」ために使うべきなのでしょう。
「おばあちゃん」という生の時間を持つのがヒトの特徴です。「おじいちゃん」はどうしまようかね?(なんか、こう、無駄な気もしてきますが・・・。「かわいいおばあちゃん」というのは実際たくさんいらっしゃいますが、「かわいいおじいちゃん」というのは、何だか言語矛盾的な気もする。)
社会的な「子育て」を引き受けることが大事なのではないでしょうか。社会的な役割としての「じじ、ばば」を引き受けましょうよ、実際に孫がいるかどうかは別にして。
他人に「おじいちゃん・おばあちゃん」と呼ばれたといって目くじらを立てることもありますまい。おじいちゃん・おばあちゃんとして、社会的な子(孫)育てをしましょう。席を譲られたら受ければいい。それが子や孫たちの優しい気持ちを引き出し育てることになるじゃないですか。そういう「社会育て」をしていくことが、還暦を迎えた私自身の仕事でもあるのだろうと考えています。
サケほどの劇的な生き方・死に方はヒトにはないにしても、命というものはやはり、次の世代を育てるために使うべきものなのかな、と思っています。
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