反転するコイル
ハヤトウリのつるが、途中で反転するコイルを巻いている写真を以前に載せました。
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2008/02/post_b065.html
↑ここです。まずはご覧ください。その上で、次の記事の最後にあるカラスウリの写真もご覧ください。
http://yamada-kuebiko.cocolog-nifty.com/blog/2008/02/post_fbed.html
この記事を書いたときは気づいていなかったのですが、あとからよくよく写真を眺めていたら、カラスウリの実の周辺に残っている枯れたつるのコイルにハヤトウリのつるの反転と同じ現象があることに気づきました。
何回か写真を撮りに行ってたまった写真をお目に掛けます。同じものが写っているかもしれませんがご容赦を。
あちこちにつるのコイルが残っていますね。この写真のかなり左上の方に反転が見えます。
その部分だけ切り出してみました。
中央付近に左上から右下へ。
ちょっとピンボケなのですが、3回巻いて、反転して、さらに3回巻いています。
つるをぐるぐる回して接触する相手を探し、先端が何かに触れて、そこに固定できると、つるの中央部分をコイルにして本体を引き寄せるというようなことをやった結果だと思います。植物は「筋肉」のように長さを縮める、という装置は持っていません。伸びるだけです。伸びることによって長さを縮めるためには「コイルを巻く」しかありませんね。
この写真でカラスウリのすぐ右上のあたりにやはり反転するコイルがあるようです。
ここには2回巻いて反転し、2回巻くという状態が写っています。
よく見ると、あちこちにあるようです。
ただ、遠くから撮っていますので、何枚も写真を撮ってきて、いろんなところにピントが合ったもののなかから、偶然写っていたものを抜き出していますので、効率は悪いし、「狙った写真」ではないのが残念です。
このくらい撮りためればまあいいでしょう。
カラスウリのつるは反転するコイルをつくって本体を支え、引き寄せる、ということは納得していただけたと思います。
教師時代に使っていた「指示棒」というやつです。そこに、長さ40cmくらいの細い針金の両端をセロテープで固定しました。固定場所の間隔は15cmくらいですから、針金自体は長さが余って、たるんでいます。
この両端固定状態で片側から針金をコイルに巻こうとしても、これはほとんど無理です。コイルを巻くと、反対側も固定されていますからねじれが解消できずに動きがとれません。
そこで、たわんだ針金の中央付近をゆるく折りまげ、この部分を指示棒に巻きつけていく、という形でコイルを巻いてみました。それが上の写真です。
自然と反転するコイルの対が出来上がっていくのです。「右巻き」とか「左巻き」ということばは、あいまいさを含むので使わないことにして。
たとえば上の写真のコイルに、左から右へ電流を流したらどう流れるでしょうか。
ステンレスの棒の手前にあらわれている針金の部分で考えると、中央より左では電流は下から上に流れ、中央より右では、上から下へ流れることがわかると思います。
つまりコイルの巻き方が反対なのですね。
芯のステンレス棒を抜いてしまいました。
いかがでしょうか?
ハヤトウリやカラスウリのつるの巻き方そっくりですよね。
実際に観察したらどうなるのかよくわかりませんが、この実験でわかるのはこんなことです。
植物はつるを伸ばして何かに先端を固定します。次に、そのつるの中央付近で、茎の片側を生長させて、「くの字型」をつくります。そうして、このくの字型がぐるぐる回るように茎の半面だけを成長させてコイルを巻いていきます。すると、自動的に反転するコイルが両側にできていくと同時に、つるの全長は短くなり、本体を引き寄せることになります。
こんなストーリーを考えてみました。誰か、微速度撮影か何かで、つるの成長とコイルの巻き方を「早送り」で撮影して見せてくれないかなぁ。
こんなことが頭の中にあると、「見え方」が変わってくるのですね。
これは自宅前にあった、たぶんヤブガラシの枯れたつるです。
反転コイルなのではないでしょうか?
ちょっと自信はありません。
これは電話の受話器のコード。
コイルがさらにねじれてしまっています。
ねじれを解消するには、受話器をぐるぐる回さなければならないのはご存じでしょう。
ということは、コイルを巻くときにはねじれを作ることになることもお分かりいただけますね。
白熱電球の中のフィラメントは、細いタングステン線をまずコイルに巻き、そのコイルをもう一回コイルに巻いた「二重コイル」になっています。こうすると、フィラメントの実効的な断面積が大きくなるのです。
昨年、小学生のU君とモーター作ったり、手回し発電機を作ったりしました。その時、長い銅線でコイルを巻くのですが、これが最初のうちは大変なのです。
銅線を引き出しながらコイルを巻くのですから、当然そのよじれがたまっていくのですね。
これをうまく解消しながら巻かないと
こんなことが起きます。
これに気づかず強くひいてしまうと
「こぶ」のようなものです。
いったんこれを作ってしまうと、これをもとのまっすぐな状態に戻すことは非常に難しい。
そういうわけで、すこし電気に慣れてくると、こういうこぶを作ってしまうことはとても恥ずかしくなります。
異常な発熱をしたり、機械的に弱くなったり、ろくなことはありません。
コイルを巻くというのは、それなりに大変な技なのです。
★植物のつるの知恵には脱帽します。
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