直立猿人
ジャズの音が脳細胞の奥深く蠢き我は直立猿人
(本庄市)福島良光
朝日歌壇(2008.1.21)より
この歌は、高野公彦さんが選んでおられます。評を読んで、あれっ、という感じがしました。
ジャズを聴く時によみがえる原始的な感覚を詠む。
こうあったのです。どうやら高野さんご自身はジャズをお聞きになる方ではないらしいですね。
ジャズはオープンな音楽ですから、クラシックのような「構え」は何も要りません。演奏を聴いていて興が乗ったら手をたたくなり、体を揺らすなり、叫ぶなり・・・演奏中でもかまいません。それがプレーヤーにフィードバックされてさらに演奏が発展していくことになります。
でもなぁ、「原始的な感覚」というにはちょっと違う気がする。「原始的な感覚」に近いのはむしろ太鼓の演奏でしょう。体の奥まで響きこんでくる振動は確かに「原始的な感覚」かもしれません。それに比べれば、ジャズはずいぶんソフィスティケイトされた音楽ですよ。
「直立猿人」というのは、原題「Pithecanthropus Erectus」で、ベーシストのチャールズ・ミンガスが、1956年に発表したアルバムの名前であり、そこに収録されている曲の題名です。
多くのジャズファンはご存じでしょう。伝説的な演奏です。私も大学時代、ジャズ喫茶に入り浸っていた時代に聞きました。
「Evolution(進化)」「Superiority Complex(優越感)」「Decline(衰退)」「Destruction(滅亡)」の4部構成の組曲なのだそうですが、そんな事を知ったのはずいぶん後のことです。
ただひたすら、聞き入っていただけです。
考古学上のピテカントロプス・エレクトスはジャワ原人という名でも知られていますね。100万年くらい前の原人です。
というわけでした。
これは、多摩川線・池上線の電車が蒲田駅に入っていく直前にある看板です。
この看板を見れば、ははぁ~、ここのマスターは結構古いところから聞いてきた人だな、とジャズファンは思うわけです。(この写真を撮ったらこの記事を書こうと思っていて、忘れたり、腰痛起こしたりで、今日まで延び延びになってしまいました。)
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