皺(しわ)
◆2007年11月19日付の朝日新聞夕刊に、脳科学者として有名な茂木健一郎さんのお話が載っていました。
そこに、素晴らしい記述を発見しましたのでお知らせします。曰く
「服も脳と同じでシワが多い方がいい。」
いや~、本当にうれしくなりました。味わい深いお言葉に感激しております。
◆また、同じ記事の文中にこんな話も載っていました。
「冗談のような本当の話ですが、ケンブリッジ大学では、ビシッとしたスーツを着ていると普通の人だと思われて、あんまり尊敬されない。10年使い込んだような穴が開いたセーターで研究室で議論なんかしていると、あの人は偉い学者だって。要は目の前のことは見ていない。だけど、目に見えないものに魅力を感じるのが科学者なんです。いまはあまりにもビジュアル優先でしょ。見えないことに魂をささげるのもすてきだって感覚を、持つべきなんじゃないかな。ケンブリッジの穴の開いたセーターを着ている人たちは本当に格好いいですよ。」
もし、私がケンブリッジ大学に留学したら、留学当初から尊敬のまなざしで見られることでしょう。
まことに、よいお話を伺いました。
◆茂木先生は、昆虫の愛好家でもあります。養老孟司先生も昆虫が大好き。仏文学者の奥本先生も昆虫の大家。いや、昆虫好きのひとに悪人はいない、なんて、私も含めて?
また、茂木さんは、大学院までは物理系で、その後、現在の脳科学・認知科学の方へ歩んでこられた方です。私は、こういう、「領域をまたぐ人」「境界を超えていく人」が大好きなんですね。
「夢」なんてものに若いうちから凝り固まって、「夢はかなう」なんて思いこんでいる方はかわいそうです。
夢なんてものはかなわないからこそ夢なんです。でもね、夢を持つと、人生をぐるぐるやっているうちに、ふと、気づきますよ。あれ~、結局、人生出だしのころに思っていたことを中心軸として、ぐるぐる回っていたんだなぁ、ってね。夢はかないません、夢の周りを回りながら生きることはできます。
一つっことにこだわらず、気にせず凝り固まらず、境界を踏み越え、領域をまたいじゃいましょうよ。そういう自由さが新しいものを生み出すのです。
ついでにもうひとつ。人生に急ぐべきことなんてなんにもありません。ゆっくり、ゆっくり、行きましょう、生きましょう、ついでに、逝きましょう。
◆脳のしわが一つ増えましたか?ついでに服のしわも一つ増やしてください。
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