何が危険なのか?見分けましょう
◆新聞の折り込み広告で、とある養蜂場の広告に、「自然素材の『みつばちクレヨン』」という商品の広告がありました。
「みつばちが巣を作るミツロウを主成分に、ヤシの実、オレンジ、レモン精油などの天然由良成分を原料にした」のだそうです。
「何でも口にする子どもたちへの安心安全な贈りもの」だと主張しています。
また「パラフィンや、石油由来のワックスを全く使っていません。」とも言っています。
「ミツロウは、ミツバチがつくる天然のロウ。口紅や食品の原料にも使われている、安心の素材です。」とも述べています。
◆クレヨンにミツロウを使うこと自体には何の異議もありません。必要なのはクレヨンとしての使い心地がよければいいのです。
◆問題は、クレヨンを子どもが口にした際に危険なのは、ベースの油脂・ワックスのほうではなく、混ぜられている「顔料」のほうだろう、ということです。
最近、中国製の玩具などの回収が続いていますが、素材から出るホルムアルデヒドや、プラスチック可塑剤などが原因のものは別として、大部分は「鉛を含んだ顔料で色づけされている」ということが多かったろうと思います。
水溶性の色素では油に練り込んだ時に色がきれいに出にくいですから、固体粉末の顔料を使います。油絵を描く方は絵の具のチューブに使用顔料が表示されていたりしますので注意深く読んでください。鉛、カドミウム、場合によっては水銀なども使われていたりします。油絵の具を口にすることはやめてください。
まったく同じ理由で、もしクレヨンに重金属顔料が使われている場合は危険といえます。
◆ですから、ミツロウを使った、ということが安全の根拠にはならないのでして、顔料に重金属を用いていない、ということの方が本質的に重要なことです。
◆この広告には、そのような顔料についての表示はありませんでした。ですから、ストレートに「安全だ」と信じないでください。使用顔料が何か、問い合わせるなどして確認してからプレゼントにしてください。
◆石油から精製されたパラフィンやワックスは、精製度の低い下手な自然由来品よりずっと安全・安心です。せいぜい消化されずにウンチに出ていくだけですから。消化可能な自然由来品の方を警戒する方がいいですよ。アレルギーのことなんかもあるし。
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◆「石油は悪で、自然は善」というような二分法を掲げる広告や議論は、眉に唾をつけてかかってください。
「石油は悪、自然は善」「人工は悪、自然は善」「動物性は悪、植物性は善」「化学・合成は悪、自然・天然は善」・・・
こういう善悪の二分法を使っていたら、そのことだけでもう、この議論は読むに値しない、と判断して頂いてかまわないと思います。その先、中身を読む必要はもうありません。
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